岩切洋一『楽しくて役に立つ「地理と地図」の本:誌上旅行で日本と世界を駆け巡る!』(PHP研究所 1997)を読む。
向山洋一氏が監修を担当していた教員向けの「勉強のコツ」シリーズの一冊で、執筆当時小学校の教諭を務めていた著者が、授業で生徒の興味の目線を集めるような小ネタを挟みつつ、地形や地図、暮らしや歴史まで包含する地理の面白さを語っている。
小・中学校の教員を主な対象とした内容の本であるが、地形図から昔の町の様子を想像したり、地政学から合戦の展開を考えたり、地理を学ぶ楽しみを充分に堪能することができた。
あとがきに書かれた著者の言葉を紹介したい。
地理は机上で思考操作をする学問ではありません。現場へ出て、そこに存在するさまざまな現象を発見し、追究するという非常にダイナミックな学問です。
みなさんのお宅の窓にも、通勤・通学する電車の車窓にも、楽しい地理の素材は実に多く映っているものなのです。ただ“ああ、坂だ”としか思わないのが普通です。
日頃の生活の中で地理的現象を見つける目を持つこと。
これが地理を学ぶ第一歩です。
(中略)今度はみなさんも(中略)何気ない風景から数多くの疑問を集めていけば良いのです。自分の足と頭で問題を解決できた時の喜びは、とても大きいものです。
これこそが地理の本来の学び方なのです。