月別アーカイブ: 2013年8月

『私は貝になりたい』

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1年ほど前に地上波で放映された、中居正広・仲間由紀恵主演『私は貝になりたい』(2008 東宝)を観た。
天皇の勅命に従って米兵の捕虜の銃殺刑に参加した2等兵が、戦後巣鴨プリズンで絞首刑になるという悲劇を描いた作品である。
肝心の天皇が責任を取らず、一般の市民が責任を取らされる不条理がテーマである。しかし、同じSMAPの草薙剛さんや笑福亭鶴瓶さんなどテレビの印象が強い役者が出てきたり、戦争とは違う夫婦愛が描かれたりして、肝心の戦争の無責任な怖さがボケてしまっている。
ブラウン管で顔なじみの芸能人が出ており、若者が戦争に触れるという点では及第点の作品だと思う。しかし、オリジナルの影響が強かったのか、映画自体のバランスも悪く、天皇の戦争責任については微妙に誤摩化されている点では落第点であろう。

エンゼルドーム

仕事も休みで上の子が泊まりにいっているので、真ん中と下の子を連れて、春日部エンゼルドームに出かけた。
春日部の児童施設なので、クレヨンしんちゃんのオブジェが飾ってある。通勤途中に脇を通るのだが、間近で見たのは初めてだった。色といい形といいよくできていた。
その後、周囲のひまわり畑を逍遥した。さすがの猛暑に、多くのひまわりが頭を下げてうなだれていた。
 
 
 

『在原業平殺人事件』

山村美紗・西村京太郎『在原業平殺人事件』(中央公論社 1997)を読む。
雑誌「中央公論」に連載途中で亡くなった山村美紗さんの未完の作品を、生前の約束通り盟友の西村京太郎氏が完結させた異色の作品である。京都を舞台に『伊勢物語』の古文書が発見されたことで連続殺人事件が展開されていく。事件の展開自体はあまり興味をひくようなものではなかったが、在原業平や伊勢物語についての蘊蓄に詳しくなった。

『十津川村 天誅殺人事件』

西村京太郎『十津川村 天誅殺人事件』(小学館 2006)を読む。
奈良県十津川村を舞台にした殺人事件に切り込んでいく十津川警部のミステリーである。
「文芸ポスト」に1年半に渡って連載されていた作品なので、歴史的背景の同じ内容の説明が繰り返されるのは少々閉口した。しかし、1冊読んだだけで、奈良県十津川村の歴史や観光地、東京からの位置関係などがすっかり把握できてしまった。まさに、犯人を追いながら、一緒に旅気分を味わうという「旅情ミステリー」の醍醐味であろう。

『伊勢・鳥羽殺人事件』

大谷羊太郎『伊勢・鳥羽殺人事件』(双葉社 2001)を読む。
ご存知(?)八木沢警部補が活躍する旅情ミステリーである。
巧妙な伏線が張られ、最後にドンデン返しで全ての謎が解け、読者を飽きさせない作品であった。
ただ、伊勢や鳥羽は単なる殺人現場として用いられただけであって、「伊勢・鳥羽」というタイトルそのものには疑問を禁じ得なかった。