月別アーカイブ: 2013年8月

「忙しさとの競争」

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ここ何日かに分けて車中で、ポッドキャストで配信しているTBSラジオ「文化系トークラジオ Life」の6月のテーマ「忙しさとの競争」を3時間分すべて聴いた。
近年、これまでの「働くこと」の忙しさとは別に、ビデオやSNSなどを「消費する」忙しさや、「乗換案内」などのアプリの普及に伴う隙間のない忙しさ、また、「投資した分だけ見返りがあるはずだ」という信仰のもとに繰り広げられる際限のない「育児」に伴う忙しさなどについて、若い社会学者たちが喧々囂々意見を交わしていた。

「スマホ中毒」という言葉が聞かれるほど、ここ2・3年、知人と「繋がる」ために若者の本来有り余っている時間がどんどん削られている。また、待ち合わせに早く来すぎたので喫茶店でコーヒーを一杯という「ゆとり」も、思い返せば「乗換案内」や「グーグルマップ」などの正確な「時間管理ソフト」によってなくなってきている。
番組を聞きながら、我が身の時間の使い方を反芻してみた。新聞をとっているにも関わらず、ネットのポータルサイトのニュースを延々と眺めていたり、ゲームこそしないが、スマホの料金設定や本体設定にずっとこだわってみたり、意味のない忙しさに振り回されている自分の生活が思い返される。

仕事や他人・社会・文化に関わる時間は削りたくないが、画面に向かったり、ネットのナビ機能であたふたしたりする時間は、くれぐれも「自制」していきたい。

パンフレット研究:聖マリアンナ医科大学

聖マリアンナ医科大学(2014年度版)を読む。
1970年代の新設医科大学開設ラッシュの最中、1971年に、民間病院が母体となり、川崎市の外れに「東洋医科大学」として開学された大学である。
正直、偏差値が私大医学部の最低ランクであったり、卒業生の女医タレントの発言を聞いたりしていたのであまりいい印象を持っていない大学であった。しかし、パンフレットを読むと、看護学部や理学療法などの学部を増やさず、大学病院と同じ敷地で6年間一貫教育を敷いており、落ち着いた雰囲気を感じる。また、最先端医療にこだわることなく、臨床医養成を基本としながら、付属病院と一体となって産婦人科や救命救急にも重きを置いている様子が伺われる。医学科しかない600人規模の小規模大学なのだが、23の体育会、6つの文化会のクラブ・サークルが紹介されている。
医師国家試験合格状況であるが、私立医学部の平均91.8%に比べ、10ポイント弱も低い83.3%に留まっている。
それにしても、近年学費を減額する私立医科大学が増えているが、聖マリアンナも4つも病院を経営しているので、学費を減じても良いのではないだろうか。

パンフレット研究:日本獣医生命科学大学

日本獣医生命科学大学(2014年度版)を読む。
聞いたことがない大学名だったので、近年新設された大学かと思いきや、5年前に校名を変更した旧日本獣医畜産大学であった。1881年に東京・小石川に開校した日本最初の私立獣医学校であり、1937年に当時東京の郊外であったJR武蔵境駅周辺にキャンパスを移している。戦後、学校法人「日本医科大学」と合併し、今年で創立132年を数える伝統大学である。現在では獣医学科と2005年に開設された獣医保健看護学科からなる獣医学部と、畜産学科から名称を変更した動物科学科、畜産食品工学科から名称変更した食品科学科からなる応用生命科学部の2学部で構成されている。

安定した人気を保っている大学のため、就職や資格、大学周辺の環境といった紹介はほとんどなく、4学科でのミッションや学びのポイント、カリキュラム、研究室の紹介が隙間なく埋められている。気楽に読み飛ばすようなページがなく、かなり読み応えのある内容であった。
4学科もあるが、やはり大学の中心は獣医学部獣医学科であり、2013年度入試では、推薦入試で3.7倍、センター試験利用入試では18.7倍、一般入試では16.5倍、学士入学でも10.0倍となっている。獣医学部というと動物病院の医者を育てるための大学だと捉えていたが、「生物多様性の保全」や鳥インフルエンザなどの感染菌、発達心理学の視点からの人と動物の相互作用など、その対象は動物というカテゴリーを大きく越えた内容となっている。
東京近郊には、日本獣医生命科学大学の他は、麻布大学と日大生物資源科学部獣医学科、北里大学の3つの私大しかなく、日本獣医生命科学大学の偏差値が一番高い。

『ザスーラ』

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地上波で放映された、ジョン・ファヴロー監督『ザスーラ』(1995 米)を観た。
宇宙を旅するボードゲームが現実になるという、子ども向けのSF映画である。ケンカしてばかりの10歳と6歳の男の子が、宇宙での旅を通して親身な仲になっていく過程が描かれる。子どもが仲良くなっていく陳腐な物語ではあるが、息子二人を持つ親の目線で観ると微笑ましくて、最後まで楽しむことができた。

パンフレット研究:日本保健医療大学

日本保健医療大学のパンフレット(2014)を読む。
埼玉県幸手市の廃校となった小学校の校舎を改築して2010年に開学した、保健医療学部看護学科のみの単科大学である。ちょうど校舎の真ん前にある武道館に通っていたので、開学を巡った混乱をよく記憶している。
開学して4年目を迎えるのに、未だにパンフレットは開学前の青写真の域を出ていない。学長の挨拶文の1行もなく、実習先の病院もぼかした写真だけで名前はなく、在校生やサークル活動の紹介も全くない。

また、医学部や付属病院もないのに、学費はべらぼうに高く、4年間で6,980,000万円である。この数字もスーパーの安売りみたいで印象は悪い。ただし奨学金制度が充実しており、3分の2近くの学生が最大270万円の奨学金が受けられ、この奨学金も提携グループの病院に4年間勤務すると返済が全額免除される仕組みになっている。

  • 勤務地の希望は伺いますが、原則として勤務する病院等については必ずしも御要望に応えることができない場合があります。
  • いつも笑顔で愚痴不平を言わず患者さんと良好なコミュニケーションのとれる人が条件です。
  • 途中で病院を退職する場合は、残金を全額直ちに返済しなくてはならないので、それが可能な保証人が必要です

具体的な勤務地や病院名が一切記載されておらず、上記の条件をつきつけられるというのはかなり大きな負担であろう。

国家試験取得のための大学なのでカリキュラムはありきたりなものとなっている。1年生に生物、物理、化学の3科目を必修科目として課しているのはよい。ただし基礎系科目の選択科目の一つに「囲碁の文化と思考力開発」という珍妙な授業が置かれているのが気になった。これはこれで面白そうなのだが、果たして受講生がいるのであろうか。

また、底辺大学にありがちな入試概要も掲載されており、AO入試は8月の後半から10回も実施されている。また評定平均値の基準のない推薦入試が5回、さらに1科目入試の一般入試も計7回実施される。これに加えてセンター試験利用入試が4回である。さらに、願書の送付が間に合わない可能性がある時は、事前に大学事務局に連絡の上、当日試験会場に試験開始1時間前までに出願書類一式を持参すれば、その場で受験票を交付し、受験が可能であるとのこと。大学側の親切な対応とみてよいのだろうか。

唯一興味をひいたのが、大学を卒業した看護師の卒業生数の増加のグラフであった。1997年には大学卒業の看護師は1,327人しかいなかったのが、右肩上がりで上昇し、2012年には14,145人と10倍以上も増加している。

パンフレットに知っている卒業生の顔が載っているかなと思っていたが、期待はずれであった。幸手市もどえらいお荷物を抱えてしまったものである。