月別アーカイブ: 2010年1月

パンフレット研究:明治大学

1881年司法省明法寮出身の法曹家岸本辰雄らにより、フランス法の教育を目的に創立された明治法律学校が前身の歴史ある学校である。
パンフレットを見ると「知への問い」や「個の学び」といった昔ながらのキャッチフレーズが並び、「大学は就職のための予備校ではありません」といった文言もある。私が受験した90年代前半と大きくは変わっていないというのが第一印象である。
しかし、自治会の排除が決定的になった辺りから再編が進み、1998年にリバティタワーが完成し、2004年に情報コミュニケーション学部、2008年に国際日本学部といった理念のよく分からない学部が開設されている。また、パンフレットを読むと、学部は変わっていないが、学科が毎年のように再編され、商学部や政経学部、法学部では新たにコースが設置され、学生が卒業までの見通しが立てやすいようにカリキュラムが再編されている。
郊外型大学のように就職や資格といったことが前面に出ることはなく、授業以外の大学という場で学ぶ人間性や在野精神に重きが置かれている。いたずらに拡張経営に走ることなく、文系は都心の駿河台キャンパスと和泉キャンパスにすべて集約し、大学としての一体感を重んじたことが成功であったのだろう。

『韓国の若者を知りたい』

水野俊平『韓国の若者を知りたい』(岩波ジュニア新書 2003)を読む。
韓国の大学で日本語講師を勤める著者が、受験戦争に彩られる高校生活や、徴兵制で中断される大学生活など、韓国の若者の生活スタイルを丁寧に述べている。 また、両国の高校生や大学生のアンケートやインターネット調査を踏まえ、韓国人と日本人の文化的な違いを明らかにした上で、韓国人との円滑な付き合い方を指南する。

調査のデータや参考文献が90年代後半のものが多くワールドカップ以降の現在とは少し異なるが、1980年代後半の日本とよく似ていると思った。また、集団的、感情的な韓国人と、個人的、儀礼的な日本人という対立図式で語られることが多かった。

「日韓友好」などというと、笑いながら握手をしてただ仲よくすればいいのだ、というイメージがありますが、文化のちがいを理解しようとする相互の努力と、ときにはたがいの誤った先入観を批判し、それを受け入れる謙虚な姿勢がなければ、真の「日韓友好」には結びつかないと思います。

パンフレット研究:法政大学

1880年日本語による内外法律の専門教育を目的に東京駿河台に開設された東京法学社を起源とし、翌年東京法学校と改称し、1920年大学令による大学となり現在に至る。
十数年前は、24時間開放(解放)の自主管理の学生会館や、破天荒な学祭、表現の自由が保証されたキャンパスなど、「西の同志社、東の法政」と並び称されていたほど「自由」を売りにした大学であった。

しかし、少子化の影響が出始めた1999年から毎年のように新しいビルが建ち、新学部や新学科が増設されている。1999年以前までは、法、文、経済、経 営、社会、工学の6学部体制であったが、99年に国際文化学部、人間環境学部が設置され、2000年には現代福祉学部、情報科学部が、2003年にキャリ アデザイン学部、2008年にGIS(グローバル教養学部)、そして工学部が改組されて理工学部と生命科学部が開設され、2009年には新たにスポーツ健康学部まで作られている。
生命科学部や福祉、スポーツ学部の開設やキャンパス整備など、大学の拡充のされ方が先行する東洋大学と酷似している。しかし、偏差値でワンランク下の東洋大学よりも洗練されている所以は、何よりも「東京6大学」というブランドのお陰であろう。
また、大学のパンフレットに大学主催の「自主マスコミ講座」の案内も同封されてきた。大学側が主催しているにも関わらず、「自主」と名付けるあたりに法政大学の関係者の意気込みというか下心が見え隠れする。

しかし、あまりに法政の独自さを出した学部を急増したためか、パンフレットを読んでも一体何を勉強するのかよく分からない学部がある。
キャリアデザイン学部は、
人間環境学部も、

また、スポーツ健康学部の設置科目の中には「総合格闘技指導論」といった専門学校にすらないような驚きの授業すらある。

『これで安心! インプラント』

結城吉成『これで安心! インプラント:入れ歯・ブリッジより快適、長持ち』(大和出版 2005)を読む。
歯科治療には全く素人のジャーナリストの著者が、自分の歯の治療についてふと調べてみたところ、インプラントの専門の先生に出会い、インプラントのメリットデメリットについて第三者のジャーナリストの立場から検討するという内容である。

しかし、読み進めるうちに、偶々知り合ったインプラントの専門家が開発 したという「プラトン・インプラント」の宣伝へシフトしていき、巻末にはそのインプラントの専門家が主催する研究会に属する歯科医の紹介ページが並ぶ。
結局は、「賢い」消費者に向けた自社商品の宣伝冊子のような内容であったが、インプラントの概略は押さえることができた。

『気分壮快!身体革命:誰もが身体のプロフェッショナルになれる!』

伊藤昇『気分壮快!身体革命:誰もが身体のプロフェッショナルになれる!』(BABジャパン 2005)を読む。
著者が存命中の1994年に出版された本の新装改訂版である。ヨガや少林寺拳法、合気道など様々な武道を学んだ著者が、胴体の単純な3つの動きをマスターするだけで健康になり、あらゆるスポーツや武道に通じる体のしなやかな動きを身につけられると説く。

胴体とは肩から股関節までを指し、その胴体を①伸ばす・縮める、②丸める・反る、③捻るの3つの動作でストレッチすることで、四肢と胴体の動きが「繋がる」ということを写真を交えて丁寧に解説されている。
私自身も本を片手にすぐにやってみたところ、その劇的な効果に驚いた。これからもずっと実践していきたい。