本日の東京新聞夕刊に、東京都が都内の障害児学校(盲・聾・特別支援学校)に設置した寄宿舎を段階的に廃止していることに対して、保護者らが再考を求め、都議会に請願するための街頭署名活動を展開しているとの記事が掲載されていた。
記事によると、都は4年前に「特別支援教育推進計画」の中で、寄宿舎を2015年までに地域バランスを考え5つに減らす方針を発表した。その方針に従い、昨年度までに2校、そして来年度は立川聾学校、2010年度には江戸川特別支援学校の寄宿舎を閉鎖するということだ。公共交通機関の発達やスクールバスの充実などで通学が難しい生徒が減ったというのが大きな理由だ。それに対して保護者の一人は「安心して楽しい時間を過ごさせてあげたいという願いを、なぜ聞き入れてもらえないのか」と都の方針に反発を強めている。
記事を読んでの感想だが、交通事情や利用人数だけで廃止を推し進める都の方針は、一人一人の教育的ニーズを支援するという特別支援教育のそもそもの理念に反することなので賛成できない。しかし、単に安くて安心だからと特別支援学校の生徒しか入れない寄宿舎を残すことも、卒業後の福祉や医療と教育の連携を謳う特別支援教育の考え方に反する。
特別支援学校の「寄宿舎」と一括りに捉えるのではなく、あくまで生徒一人一人の教育的ニーズと卒業後の進路を見据えた教育的支援という観点から考えなくてはならない。一般に盲・聾学校については、発声や手話など一貫した教育課程を持っているので、寄宿舎は残すべきであろう。一方で特別支援学校(養護学校)については卒業後を考えて、寄宿舎ではなく、地域の施設の弾力的な活用を考えていくべきだと思う。