多摩大学のパンフレットを読む。
1989年に、「休講のない大学」「実学重視のプログラム」「産業界で活躍した教授陣」などの特色を掲げて開学した新しい大学である。経営情報学部と2007年に新設されたグローバルスタディーズ学部の2学部からなる。
「グローバル〜」は国際社会における「教養」と「論理的思考能力」の育成に力を入れており、授業も英語で行なうなど気合いが入っている。
また、経営情報学部は経営情報学科とマネジメントデザイン学科の2学科で構成される。経営情報学科の設置目標がこの学校の理念を象徴しているように思う。「今や多くの企業が経営戦略の中心に据える「カイゼン(改善)」。その推進に貢献できる人材の育成こそ経営情報学科の大きな目標です」と謳われている。完全な経営サイドに立った物の見方ができる若者の育成に大学全体が特化されている印象だ。
キャンパスの周辺には何もなく、サークル活動も盛んではない。就職や資格の勉強に集中したい学生にとっては程よい環境の大学であろう。
日別アーカイブ: 2008年12月28日
パンフレット研究:関東学園大学
関東学園大学のパンフレットを読む。
群馬県太田市にあり、経済学科と経営学科からなる経済学部と法学部、そして大学院から構成される小規模の大学である。
どちらの学部にもスポーツマネージメントコースが設置され、経済や法律の勉強と併行して、保健体育の教員にもなれるという「贅沢」なコースである。パンフレットを読む限りは、学問内容よりも、資格取得と就職支援、特待生・奨学金制度の充実を売りとした典型的な郊外型大学である。とりたてて特徴のない大学である。
入学者の学力は決して高くはないためか、コンピンテンシー(社会に対応し、適応する力)育成プログラムが一年次に導入され、少人数制による基礎学力充実とモチベーションの向上が図られている。女子サッカーやソフトボールが強化クラブとして活動しているようだ。
「人口論」で有名なイギリスの経済学者マルサスの自筆文書が保管されていることが、他大学と差別化を図る唯一の宣伝材料か。
『しのびよる階級社会:”イギリス化”する日本の格差』
林信吾『しのびよる階級社会:”イギリス化”する日本の格差』(平凡社新書 2005)を読む。
著者は、10年に亙る英国での生活を踏まえ、厳然たる階級格差に根ざしたイギリス人の生活、経済、教育制度を分かりやすく述べる。米国には人種差別があるが、イギリスには人種「区別」があると巷間言われる。イギリスでは、言葉や生活スタイル、趣味、義務教育など多くの場面で、上流階級と労働者階級には大きな隔たりがある。
著者は、英国の一部を知っただけで英国のありようそのものを礼賛する一部の学者の悪影響で、日本にも公教育制度を契機として生まれながらにして人生が決定されてしまう新たな階級制度が根付いてしまうことを危惧する。
著者は次のように述べる。
1990年代より、「ゆとり教育」なる美名のもとに、「見えない三分岐システム」のごときものが生み出されてきた。
- くどいようだが、確認しておくと、義務教育段階から私立校に通うエリート層
- 公立校の、ごく一部の秀才組
- 公立校の「その他大勢」組
……という具合に振り分けられつつあるのだと考えてよい。