NHKスペシャル「同時3点ドキュメント」取材班『為替相場・巨額の頭脳戦』(日本放送出版会 2006)を読む。
1日で約220兆円ものお金が取引される為替市場の現実を、ニューヨークのヘッジファンド「FXコンセプツ」と、中国政府肝いりの香港のヘッジファンド「シティック・キャピタル」、そして東京の「みずほコーポレート銀行」の国際為替部の3者をリアルタイムで追いかけ、為替変動に伴う緻密な変動予想や仕掛けの思惑を分単位で描き出す。日本円はドルの影響をもろに被るだけでなく、中国元の利上げにも根底から影響される現実を知った。結局グローバルなマネーゲームの世界も、政府の意向で簡単にドルを操作できる米国にあるヘッジファンドや、中国政府の裏情報を知る中国の政府系ヘッジファンドが儲かる仕組みになっているのである。特に極端に元安政策を取る中国は輸出によって外貨準備金がどんどん増えており、そうしたお金が原油や資源の先物取引に回っている現実は、実態が掴みにくい分だけ不気味である。
NHKスペシャル シリーズ 同時3点ドキュメント