本日の東京新聞夕刊の文化欄に先日行なわれた「村上春樹という不思議な存在」と題した討論会の様子が掲載されていた。横浜市立大学の鈴村和成氏、東大の藤井省三氏、評論家の川村湊、専修大の柘植光彦氏の4人の研究者がそれぞれ春樹研究の現在と展望について語り合っている。その中で柘植氏は「春樹は僧侶だった父親の影響を大きく受けている。彼が描く『別の世界』や『死後の世界』に、日本的無常観もあるのでは」と述べ、藤井氏は「伝記研究が決定的に欠けている。誰かがもう始めても良い」と指摘する。
まだ生きている50代の作家に対して、「伝記研究」をすべきだと称されるということは、彼が並外れてすっげー作家だということである。大学時代に卒論担当の教員から「生きている作家は評価が変わるし、本人が否定したらお終いだから、文学研究の対象にはならない」と注意を受けたが、こと村上春樹には通じない通説であるようだ。
「村上春樹という不思議な存在」
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