フィッツジェラルド短編集(村上春樹訳)『マイ・ロスト・シティ』(中公文庫 1984)を読む。
長年本棚に眠っていた本で、ページの三分の一ほどが茶色く焼けてしまい古本屋の匂いがする文庫本であった。一般にフィッツジェラルドというとロストジェネレーション世代の作家と称され、第一次大戦後のアメリカの白けた気だるい雰囲気を描出するつまらない作風の作家というイメージであった。高校時代に手に取った際は、冒頭の数ページ読んだだけで読むのを諦めてしまっていた。
しかし、30代になって読むと、不倫やアルコール中毒、世界大恐慌による倒産など、将来が見えない不安や過去にしがみついてしまう弱さなどがすーっと心の中で理解出来て面白かった。
『マイ・ロスト・シティ』
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