山田一廣『知っておきたいエチオピアの実像:アフリカ最古の国の素顔』(ほるぷ出版 1992)を読む。
著者は神奈川新聞社勤務を経て、エチオピア関連の著作を中心としたノンフィクションライターである。エチオピアはアフリカ大陸では珍しくキリスト教国だったので、一時期イタリアやイギリスの支配下にあったものの、欧米の植民地化は避けられ、2000年近い歴史を持つ世界最古の独立国である。2021年7月現在の推定人口は1億1000万人であり、急激に人口が増加している。
しかし、キリスト教国であるゆえに、周辺のイスラム教国のエリトリアやソマリアとの確執が数十年単位で続くことになった。また、「敵の敵は味方」論法でイスラエルが支援したり、ペルシャ湾や紅海に睨みを聞かせておきたい旧ソ連が軍事支援をするなど、周辺国との軋轢に火を注ぐようなことが繰り返された。結果、干魃などの自然的要因もあるが、人為的な要因で世界最貧国の一つに数えられている。
エチオピアの主要な輸出品にコーヒーがある。元々エチオピアの南部のカフェ州で発見されたことに因(ちな)む。そしてエチオピアからアラビア半島、東南アジア、中南米へと広がっていった。アラビア産のコーヒーは現在のイエメンのモカ港から積み出されたことから、「モカ・コーヒー」と呼ばれるようになった。
入手可能な最新の総合的データによると、2015年、世界の極度の貧困層7億3,600万人の半数が、わずか5カ国に集中していました。この5カ国は、インド、ナイジェリア、コンゴ民主共和国、エチオピア、バングラデシュです。よって、世界全体で極度の貧困層を削減するには、これら5カ国における取組みとともに、極度の貧困層のうち85%(6億2,900万人)が暮らす南アジア地域とサブサハラ・アフリカ地域の貧困削減に取り組むことが不可欠です。
(世界銀行公式サイト「1年を振り返って:14の図表で見る2019年」より )
ブルキナファソやチャド、エチオピア、ニジェール、南スーダンでは、10歳未満の子どもの約90%以上が、多次元貧困に陥っています。
(国連開発計画(UNDP)駐日代表事務所のウェブサイト「2019年グローバル多次元貧困指数」より )