本日の東京新聞朝刊記事より。
昨夏、米西部カリフォルニア州の北部にあるグリーンビルという村で、乾燥した風に煽られ大規模火災が3ヶ月以上も続いたとのことである。
では一体、なぜカリフォルニア州で乾燥するのであろうか。大気大循環の項で中緯度高圧帯(亜熱帯高圧帯)を学習した。赤道低圧帯(熱帯収束帯)と北緯60度付近の亜寒帯低圧帯に挟まれた北緯30度付近は、下降気流が発生することで乾燥気候となっている。また、地軸の傾きにより、北半球でいうと、夏は北緯40度付近が中緯度高圧帯に、冬は北緯20度付近が高圧帯に入る。
イタリアを中心とした地中海沿岸は、ぴったり北緯40度付近に位置するため、夏に乾燥する地中海性気候となっている。でも、南北緯30( ±10度)度付近が全て地中海性気候となることはなく、寒流と偏西風の影響が強い大陸の西側という条件が加わる。共通テストに頻出の地中海性気候は、南緯30度付近の南アフリカ、同じくオーストラリア南西側のパース、北米のカリフォルニア州、南米のチリなど世界各地にある。
さらに北米の西側は環太平洋造山帯となっており、険しい褶曲山脈が聳える。湿った偏西風が山脈にぶつかり、山脈を超えたところで乾いた風が吹きおろすフェーン現象が生じる。カジノで有名なラスヴェガスは砂漠のど真ん中にある。記事にあるカリフォルニア州の北部も標高3000mを超えるシェラネバダ山脈の西側にあり、乾燥度合いが倍化したと考えられる。
ちなみに、日本ではフェーン現象による山から吹き下ろされる乾いた風のことを「颪(おろし)」と呼ぶ。阪神タイガースの応援歌の「六甲おろし」や群馬県の「赤城おろし」が有名。「颪」は漢字ではなく、日本独自の国字と呼ばれる字である。