月別アーカイブ: 2021年6月

「ロシアの覇権拡大 懸念」

本日の東京新聞朝刊より。
ロシアの天然ガスパイプラインに関する記事である。地理Aの授業では2学期のところで扱う予定である。ロシア周辺の地図を丹念に見てくれれば分かるが、旧ソ連の国々を中心にロシアの天然ガスパイプラインが縦横無尽に張り巡らされていることが分かる。そして、そのパイプラインを守るためにロシア軍が常駐し、その国の政治や経済に口出しをするという構図である。

特にルーマニアの西側にモルドバ共和国という国がある。資源に乏しく、財政的にも厳しいのでロシアのパイプラインの敷設・管理が国家の収入源の一つとなっている。しかし、近年はEUに加盟しているルーマニアとの結び付きを重視しているため、ロシアはモルドバの分割に暗躍している。

今回の話はドイツだが、ロシアのパイプラインを敷設するということは、その分だけの政治的リスクを抱えることとなる。脱原発に舵を切ったドイツのエネルギー政策の試金石となろう。

「中国共産党 建党100年」

本日の東京新聞朝刊記事より。
1921年7月に陳独秀らが中国共産党を立ち上げて、まもなく100年が経とうとしている。その間の国共合作や日中戦争、国共内戦、中華人民共和国としての建国、文化大革命、鄧小平の改革開放政策、北京五輪、米中対立までの経緯が分かりやすくまとめられている。
うまく噛み砕いて、授業のネタとして使っていきたい。

 

「仏、アフリカ積極外交」

本日の東京新聞朝刊記事より。
世界史の教科書に登場する19世紀のアフリカ分割の図とそっくりの地図が掲載されていた。「横断政策」や「ファショダ事件」といった用語が頭の片隅をよぎる。記事を読むと、新たにアフリカに進出してきた中国やロシアに対抗するため、旧植民地のフランス語圏の国との関係強化や、旧英国植民地のルワンダや南アフリカとも関係の構築を始めているそうだ。一方で、フランス国内にも多くの移民を抱えるモロッコやアルジェリア、チュニジアとの関係には一線を引くなど、国内世論を優先する戦略も見え隠れする。

また、仏軍の常駐として、セネガルやコートジボワール、ガボンまでは理解できるが、ジブチにまで配備しているとは知らなかった。はたしてジブチの内戦にどれほどの貢献をしているのであろうか。

「黒い怪鳥目撃相次ぐ」

本日の東京新聞夕刊に、アフリカのサバンナなどに生息する「ミナミジサイチョウ」の記事が掲載されていた。1年半ほど前にペットショップから逃げ出した鳥がようやく捕獲されたとのこと。しかし、そもそもミナミジサイチョウなんて聞いたことがないので、ウィキペディアで調べてみたところ、アンゴラ、ウガンダ、エスワティニ、ケニア南部、コンゴ民主共和国南東部、ジンバブエ、タンザニア、ナミビア北部、ブルンジ、南アフリカ共和国東部、モザンビーク、ルワンダ、レソトで生息しているとのこと。地図で場所を確認すれば分かるが、これらの国々はケッペンの気候区分でいうところの、Aw(サバナ気候)の地域にほぼぴったりと重なる。

サバナ気候は雨季と乾季がはっきりしているため、長い草が繁茂する地域となる。そのため、ゾウやシマウマ、カバ、シカなどの大型草食動物の生息地域ともなる。すると、そうした動物を餌とするライオンやトラ、チーターといった大型肉食動物もまた生息数を増やすこととなる。記事によると、ミナミジサイチョウもヘビやカエルを捕食する肉食動物なので、サバンナの環境が合っているのであろう。

しかし、ケッペンの気候区分の定義によると、熱帯は最寒月の月の平均気温が18度以上となっている。しかし、千葉県の千葉市の最寒月は、1月の5.7度に過ぎない。とてもではないが、屋外だと冬を越すことは難しい。おそらくは人間の意図的な行為か、屋内で一と冬を過ごしたことと思われる。

「リトアニア 人権問題で中国非難」

本日の東京新聞朝刊より。
リトアニアといわれてもピンと来ない人が多いでしょうか。
戦前には、日本の外務官に杉原千畝氏(ポーランド等から逃れてきたユダヤ系避難民等に対して日本通過ビザ「命のビザ」を発給した)が在カウナス領事館に勤務していたことが広く知られているなど、日本との関係は伝統的に良好な国として知られています。
そのリトアニアで、中国の新疆ウイグル自治区やチベット自治区で続くジェノサイドに対して、政府決議を可決し、「一帯一路経済圏構想」からに離脱を表明したとのこと。リトアニアは隣国のベラルーシのルカシェンコ独裁に対しても非難の声をあげており、米国バイデン政権と歩調を合わせている。リトアニアの姿勢は日本にとって決して遠い国の話では済まないはずである。