月別アーカイブ: 2021年5月

『古代遺跡見学』

直木孝次郎『古代遺跡見学:奈良・大阪・京都・滋賀』(岩波ジュニア新書 1986)をパラっと読む。
あまり興味がなかったので、読み流した。一部目を引いたところだけ引用。

滋賀県はいにしえの近江国である。この国の特徴はいうまでもなく日本最大の湖・琵琶湖の存在である。琵琶湖は海のように大きいが、潮水ではなく淡水なので、古代では淡海=オウミと呼ばれた。オウミという国名はそれから来ている。
その淡海の国名をなぜ近江と書くかというと、古代人はいまの静岡県の地方に、もう一つ大きな淡水の湖ー浜名湖ーのあることを知っており、それを遠つ淡海、琵琶湖を近つ淡海といって区別したことによる。

「イスラム抑圧、海南島でも」

本日の東京新聞朝刊に、「中国のハワイ」とも称され、国際的な観光地ともなっている海南島が特集されていた。海南島は北緯20°付近の熱帯モンスーン気候地域に位置し、ベトナムやフィリピンと同緯度にある。付近を暖流が流れ、太平洋側からの湿った季節風が吹くため、雨季の降水量が極めて多い。

習近平体制になってから、新疆ウイグル自治区や内モングル自治区、香港などで、急激に「中国化」がゴリ押しされている。記事によると、海南島でもイスラム教の少数民族(回族と呼ばれる)に対する宗教弾圧が強化されている。大切なのは、台湾問題や中印国境衝突、ミャンマー情勢も含めて、アジア地域における中国のプレゼンスをしっかりと見据えることである。

「プロフェッショナル 仕事の流儀~庵野秀明スペシャル~」

NHK綜合テレビで放映された「プロフェッショナル 仕事の流儀~庵野秀明スペシャル~」(2021年5月1日放映)を観た。
タイトなスケジュールがあり、チームで仕事をしながらも、自分の理想を追う芸術家肌の庵野秀明監督に密着したドキュメンタリーである。理屈は抜きにしてカッコいいと思った。変に大人ぶることなく、いつまでも自分がやりたいことを求めていく人を素直に応援する気持ちを大切にしていきたい。

『中国を知る』

田畑光永『中国を知る』(岩波ジュニア新書 1990)を読む。
著者はTBSの記者で、1972年の田中角栄首相の日中国交正常化の際にも同行取材を行ったほどの中国通である。その著者が刊行1年前に起こった天安門事件や日中の交流史、そしてこれからの日中関係の3点についてまとめている。
天安門事件の頃の中国共産党の記者会見の様子が興味深かった。まるで現在の菅総理そのままではないか!
また、著者は以下の後に続いて、政権側に対して再質問に対する答えを義務づけることで、都合の悪いことには答えないという身勝手な態度が改まると述べている。

私が若いころ、中国からえらい人が日本にやって来て、記者会見する時は、あらかじめ質問をたくさん出させて、その中から自分で答えたい質問だけに答えて、あとは知らんぷりということがよくあった。ずいぶん奇妙な感じを受けたものだが、それがまさに国内での中国共産党の態度だったのだ。

「スコットランド議会投票 独立支持政党過半数確保か」

本日の東京新聞朝刊より。
2年1組だったか、プレゼン発表でイギリスを取り上げたグループがありました。イギリスの正式名称やフィッシュアンドチップスについて説明してくれました。イギリスの正式な国名は「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国」といい、イングランド、ウェールズに、スコットランドと北アイルランドの連合国家です。しかし、この国名が変わる日が近いかもしれません。

その原因は今年1月のイギリスのEUからの離脱です。パスポートや関税が不要で、人やモノが自由に域内を移動することができる欧州連合(European Union)から正式に脱退しました。昨年末まで漁業権交渉や税関手続きで揉めていたのですが、ジョンソン首相の手腕で期限ギリギリに交渉がまとまりました。

しかし、その結果、これまでフランスなどの大陸の工場で作られていた食料品などの日常生活品を積んだトラックが、ドーバー海峡を渡って直接イギリスのスーパーに運ぶことができなくなってしまいました。またアイルランド島では陸続きにも関わらず、EUに加盟しているアイルランドとEUから離脱した北アイルランドとの間でモノの移動に関するルールが明確化されておりません。

そして、EUから離脱したイギリス内で、スコットランドと北アイルランドがイングランド支配からの独立の機運が高まっています。スコットランドは地図帳41ページを見れば分かりますが、東方沖の北海油田とパイプラインで結ばれており、独立すると油田からの利益もスコットランドのものとなります。北海油田周辺から天然ガスも採掘されており、スコットランドの財政を豊かにするであろうと言われています。

また、北アイルランドの独立問題は歴史的に根深いものがあります。カトリックとプロテスタントの宗教問題も絡んで、アイルランドとの統一を目指すIRA暫定派やシン・フェイン党とイギリス軍やイギリス政府との対立が100年以上も続いています。過激なテロ行為は沈静化しつつありますが、スコットランドと同じく、独立の議席がかつてないほど増加しています。

もしかすると数年後には、グレートブリテン及び北アイルランド連合王国ではなく、「イングランド及びウェールズ連合王国」と「スコットランド共和国」、「アイルランド統一国家」の3つの国家になっているかもしれません。