月別アーカイブ: 2021年5月

「シリア大統領選 アサド氏圧勝で4選」

本日の東京新聞朝刊に、シリアのバッシャール・アサド大統領が得票率95%で圧勝したとの記事が掲載されていた。地図を見れば分かるが、シリアはロシアの宿敵であるトルコの南側に位置する。トルコを挟み撃ちにする絶好の地域であるため、ロシアから軍事支援を受け、父のハフェズ・アサド前大統領時代から50年以上にわたって、アサド政権はシリア支配を続けている。また、アサド政権は中東イスラム諸国の大半を占めるスンニ派ではなく、イスラム世界ではマイナーなアラウィー派との関係が深い。

2010年頃、イスラム世界では「アラブの春」という民主化運動が巻き起こった。チュニジアやエジプト、リビアといった国で次々と独裁政権が崩壊していった。シリアでもアサド独裁に対する反政府活動が活発化したのだが、他の国と異なり、反政府組織に同調して、イスラム過激派やスンニ派の周辺諸国が次々と参戦するという構図になってしまったのだ。特にロシアの後ろ盾があるアサド政権に対し、トルコがアメリカの支援を受けて内戦に加担したため、シリア内戦は泥沼化していく羽目になった。その結果として、シリア難民が大挙してヨーロッパに押し寄せたのは記憶に新しいところである。また、シリアやイラク、トルコ域内で暮らすクルド人も難民化し、日本でも難民申請が急増することとなった。

話が本題からずれてしまった。難民問題はまた後日取り上げたい。

「『避難指示』で即行動を」

本日の東京新聞朝刊より。
今日仕事を終えて家に帰ったら、郵便ポストに春日部市のハザードマップが入っていました。洪水や地震の際の危険段階を示した「メッシュマップ」が掲載されているものです。皆さんの住む自治体でも作成されて、全戸に配布されているものなので、一読してみてください。

埼玉県は内陸の海無し県なので、津波の被害とは無縁だと思いがちですが、八潮市の中川沿いには浮塚や垳、潮止といった少し変わった地名が残っています。これらの地域は周囲よりも海抜が低いので、津波によって海水が中川を逆流し、八潮付近まで押し寄せたことを示しています。

記事によると、自治体がこれまで出して来た「避難勧告」が廃止され、「避難指示」に一本化されたとのことです。皆さんが住む地域の防災拠点や避難場所を常日頃から確認しておかないと、いくら指示が出ても、すぐに行動に移すことはできません。特に洪水被害が予想される埼玉東南部地域では、浸水被害予想に着目しておきましょう。

「再生エネの潮流に乗って発電」

本日の東京新聞朝刊に、長崎県五島市で深さ40mの海底を流れる潮流を活用した「潮流発電」の実証実験の記事が掲載されていた。
日本近海は、時速9kmにも達する黒潮(日本海流)が流れている。ネットの情報だが、黒潮の1秒間に流れる海水の量は、紀伊半島沖合で東京ドーム48個分にも相当するという。沖縄や鹿児島でも実験が展開されていたが、島の数が全国で1番多い長崎県で、一般家庭の約300世帯分の消費電力を賄える成果を得られたとのこと。

これは明るいニュースである。日本は風力も太陽光も、決して条件が恵まれている訳では無い。一年中雨や曇りがあり、太陽光の効率は高く無い。また、強い偏西風が吹く欧州と比べ、日本の気象条件では風力もベース電源とはならない。それらに比べ地熱や潮力は極めて安定したエネルギーを供給する。

この記事を読んでくれた高校生の皆さん、将来選択の一助となりませんか? 楽しそうだと思いませんか。なお、潮力発電は長崎大学や佐賀大学、早稲田大学で研究・実験されているとのこと。

「中国のハワイ『海南島』を拠点に」

中間考査の返却も終了しました。
地理Aの試験で、中国の政治経済の覇権の拡大について扱いました。また、中国で唯一熱帯雨林気候となる「中国のハワイ」とも称される海南島についてふれました。海南島は鄧小平が主導した改革開放政策の目玉である経済特区にも入っているので、中間考査の問題の選択肢の一つに入れました。

観光や経済でも成功している海南島の現状に関する、本日の東京新聞夕刊の記事からです。外国人観光客で溢れた免税店や改革開放の象徴というプラスなイメージ戦略の裏で、ベトナムやフィリピンなどと領有権で争っている、南シナ海の南沙諸島に対する軍事拠点としての性格を強めているという。

これから2年生の地理Aと3年生の世界地誌とも東南アジアに入っていきます。2年生の地理Aについては、中国の緊張関係を意識しながら進めていきたい。

「ベラルーシ国際対立辞さず」

本日の東京新聞朝刊にベラルーシ情勢に関する記事が掲載されていた。
昨年の授業で何度か話題にしたニュースである。今年の授業選択者にとっては馴染みの薄い国であるが、ロシアの西側にベラルーシという国がある。かつては「白ロシア」とも呼ばれた国で、徹底した親ロシアの国である。ロシアと欧州を繋ぐ原油や天然ガスのパイプラインの要衝に位置しており、ロシアのエネルギー戦略上極めて重要な国となっている。ロシアの後ろ盾もあり、極めて非民主主義的な国家運営が継続されている。ベラルーシのルカシェンコ大統領は1994年に初当選してから、昨年の大統領選挙で6選を果たしている。しかし、昨年の選挙で不正があったのではないかと、8月に大規模なデモが展開され、約3000年の逮捕者が出ている。

そのベラルーシで、今度は