本日の東京新聞朝刊に、シリアのバッシャール・アサド大統領が得票率95%で圧勝したとの記事が掲載されていた。地図を見れば分かるが、シリアはロシアの宿敵であるトルコの南側に位置する。トルコを挟み撃ちにする絶好の地域であるため、ロシアから軍事支援を受け、父のハフェズ・アサド前大統領時代から50年以上にわたって、アサド政権はシリア支配を続けている。また、アサド政権は中東イスラム諸国の大半を占めるスンニ派ではなく、イスラム世界ではマイナーなアラウィー派との関係が深い。
2010年頃、イスラム世界では「アラブの春」という民主化運動が巻き起こった。チュニジアやエジプト、リビアといった国で次々と独裁政権が崩壊していった。シリアでもアサド独裁に対する反政府活動が活発化したのだが、他の国と異なり、反政府組織に同調して、イスラム過激派やスンニ派の周辺諸国が次々と参戦するという構図になってしまったのだ。特にロシアの後ろ盾があるアサド政権に対し、トルコがアメリカの支援を受けて内戦に加担したため、シリア内戦は泥沼化していく羽目になった。その結果として、シリア難民が大挙してヨーロッパに押し寄せたのは記憶に新しいところである。また、シリアやイラク、トルコ域内で暮らすクルド人も難民化し、日本でも難民申請が急増することとなった。
話が本題からずれてしまった。難民問題はまた後日取り上げたい。