本日の東京新聞朝刊に、東京五輪・パラリンピックに向けて長期合宿中の南スーダンの選手を来夏まで落ち着いた環境で練習に取り組ませたいと、前橋市がふるさと納税制度で応援するとの記事が掲載されていた。
前橋市の取り組みに敬意を表したい。というのも南スーダンは2011年に独立した最も新しい国である。場所は地図帳38ページで確認しておきたい。南スーダンは「世界でもっとも脆弱な国家ランキング」(2020年度)で、イエメン、ソマリアに次いで世界第3位にランキングされている国である。2011年にスーダンから独立したものの、アビエイ油田を巡って国境が確定されておらず、スーダン軍の攻撃や、反政府組織のテロ活動、政権クーデターが続き、多くの難民が発生している「破綻国家」である。外務省のデータによると、経済成長率は−13.8%(2016年)、物価上昇率は273%(2016年)となっている。一人あたりのGNIはたった390ドルに過ぎない。日本の100分の1である。
日本と国交はあるものの、政治経済における特段の交流はない。だからこそ、スポーツで支えていこうとする前橋市の判断は素晴らしいことだと思う。東京五輪が開催されなくとも、こうした民間交流の成果はいつか思いもよらぬところで実を結ぶはずである。