おもしろ地理学者『世界で一番ふしぎな地図帳』(青春出版社 2006)を読む。
教材研究の一環だったが、雑談の小ネタが手に入った。書き留めておきたい。
- 黒潮の幅は日本近海では100キロにも達し、その速さは時速に換算すると4〜6キロ、最大で7キロになる。概算で、1秒間に2000万〜5000万立方メートルの水を選んでいるとされる。一方アマゾン川河口流域の流量は、毎秒25万立方メートル前後。じつに、黒潮は、アマゾン川の80〜200倍もの水を運んでいるというわけである。じっさい、黒潮は、世界でも有数の暖流で、アメリカ東岸を北上するメキシコ湾流と並ぶ世界二大海流といわれる。
- 東京に降る雪は、月別でいえば、2月がもっとも多い。というより、東京にかぎらず、関東地方から東海にかけての太平洋側では、2月にもっとも雪が降りやすい。(中略)順を追って説明すると、冬、大陸から張り出す寒気(シベリア高気圧)が強いと、南海上で発生した低気圧は、その高気圧に邪魔され、日本へ近づくことができない。そのため、低気圧ははるか南の沖合いを通過していく。ところが、2月になって大陸からの寒気が弱まると、低気圧は北上し、太平洋岸の近くまで接近してくる。すると、この低気圧に向かって、三陸沖から冷たい空気が流れこみ、雪が降りやすくなるというわけである。ちなみに、季節に関係なく、上空の雲から落ちてくるのは、ほとんどが雪(氷)である。そして、地上付近の気温が高ければ、雪は途中で溶けて雨になるが、地上の気温が2℃以下の時には、溶けずに雪のままで落ちてくる。太平洋岸に、三陸沖から冷たい空気が流れこんでいるときには、地上の気温が下がっているので、雪のまま地上に到着するというわけである。
- なぜ、東京にこれほど坂道が多いのだろうか? その理由は、もとをたどれば、富士山のせいだったといえる。
富士山の噴火は、約8万年前から始まったと考えられているが、以降、何度も噴火を繰り返し、大量の火山灰を降らせてきた。その火山灰が、編成風に乗って東へ運ばれ、現在の東京都内に、隅田区や江東区といった下町を除き、だいたい5〜8メートルの高さまで降り積もった。この火山灰によって、東京は凹凸の激しい地形となり、坂道がたくさんできたのである。