日別アーカイブ: 2016年4月10日

『ユニコーンの旅』

五木寛之『ユニコーンの旅』(文藝春秋 1971)を読む。
うつ病の少年が作ったユニコーンを題材とした詩に纏わる表題作のほか、1950年代末のタクシー業界を描いた「奇妙な果実」など、自動車をモチーフにした短編4作が収められている。どれも五木氏の若い頃のエネルギーを感じる作品であった。
特に、妻と娘に秘密で深夜に中古の外車でドライブを満喫する中年男性を描いた「夜の世界」という作品で印象に残るシーンがあった。車という閉じられた自己の世界に逃げ込もうとする団地住まいのサラリーマンが、ドライブの途中で世界は変えられると信じる学生活動家に出会う。学生活動家との距離の取り方が面白かった。

疲れているので、意味不明な文章になってしまった。。。。

『高齢者医療と福祉』

岡本祐三『高齢者医療と福祉』(岩波新書 1996)をぱらぱらと読む。
いよいよ高齢者の介護が喫緊の社会問題となり始めた頃に刊行された本である。
ケアマネジメントやホスピス、グループホーム、ターミナルケアなどの横文字用語が分かりやすく説明されている。
刊行当時も、20年経った現在でも、施設に預けるのはではなく、子どもが親の介護に責任を持って当たるのが親孝行であるという「神話」が幅をきかせている。しかし、戦前までは「親孝行、したい時には親はなし」と長子は平均33.7歳で父親と死別し、37.9歳で母親と死別していた。さらに末子に至っては、平均21.4歳で父親と、そして25.6歳で母親と死別していた。それが現在ではそれよりも20数年遅れており、高齢者介護が戦前とは全く別次元の問題だということが分かる。そうした社会背景を無視して、子どもが親の面倒を看るのが当たり前だという易き論調には与したくない。