成毛眞『本は10冊同時に読め!』(三笠書房 2013)を読む。
読み始めてすぐに一度読んだことのある本だと気付いたが、風呂の中で一気に読み終えた。
二極化が進む現代、高所得階級の人間になるか、低所得階級の人間になるか、その境目は本を読んでいるか、読んでいないかの違いであると冒頭で述べる。一度に10冊の本を同時に読む「超並列」読書術を実践すれば、脳の様々な分野が刺激され、思考や会話の幅が広がり、人脈や仕事にも大いに活かされるという。また、本は丁寧に最後まで読む必要はなく、自分の興味あるところだけの「拾い読み」や、テレビのCMの間だけの「ながら読み」なども、脳の切り替えに良いと著者は述べる。
月別アーカイブ: 2015年11月
『千年の源氏物語』
朝日新聞ニッポン人脈記班編『千年の源氏物語』(朝日文庫 2008)の第1章だけを読む。
様々なテーマを「人脈」から掘り起こす朝日新聞連載の「ニッポン人脈記」から、芸術・文化にまつわる6つのテーマが採録されている。本書では、源氏物語を始め、飛鳥、お笑い番組、ピアノ、出版社、絵本の6つのテーマで、それらに関わる多種多様な人たちが紹介されている。
第1章の源氏物語人脈では、研究者に始まり、翻訳者、古本屋、演出家、朗読家、香道研究者、絵巻研究者、写本研究者、作家、国文学者間で、様々な切り口で人脈をつないでいく。現在でも国内で発表される『源氏物語』関係の論文は年間三百本以上と言われ、「源氏帝国主義」という言葉まであるという話だ。源氏の中身には触れていないが、その影響力は高校・大学の古典の授業だけでなく、幅広い影響力を持った作品だということは理解できた。
『私たちの好きな源氏物語』
別冊宝島編集部編『私たちの好きな源氏物語』(宝島社文庫 2008)をぱらぱらと読む。
2003年に「別冊宝島」として刊行されたものの文庫化である。写真入りで京都御所や野宮神社などの源氏物語ゆかりの地(聖地)が紹介され、他に、主要登場人物のプロフィールや当時の暮らしぶり、口語訳や英訳の違い、各巻の恋模様、成立の裏話などが語られる。
教材研究の一環として手に取ってみたのだが、ここ数日、毎日毎日毎時間毎時間、若紫の冒頭のシーンばかり扱っていたので、さすがに家に帰ってまで読もうという気にはさらさらなれなかった。「昔の恋愛も今の恋愛も、〜〜よねぇ」といった語り口は、中年のおじさんには辛いものがある。
その中で、瀬戸内訳と谷崎訳、与謝野訳、円地訳のそれぞれの違いを、大胆に比較してしまう章だけは目を引いた。思想だろうが哲学だろうが宗教だろうが、あらゆるジャンルをスパッと分類・系統立ててしまう別冊宝島編集部ならではの切り口である。
「子は宝。産むことは罪なのか」
本日の東京新聞朝刊に、中国の「一人っ子政策」全廃に関する特集記事が掲載されていた。身につまされるような話だったので、全文引用してみたい。この話は決して他所の国の過去の政策として済まされる話ではないと思う。他山の石としたい。
中国当局は、長年続けた「一人っ子政策」の全面廃止を決めたが、既に二人目以降を出産した親が罰金が払えないために「黒孩子」(闇の子)と呼ばれる無戸籍層に恩恵はない。二人の娘を持つ北京市の母親(41)が苦悩を吐露した。
九歳の長女と六歳の次女がいます。次女は戸籍がありません。中国では何をするにも「市民身分証」のカードが必要です。身分証のない次女は飛行機にも乗れず、医療保険もない。このままでは将来、普通の就職もできません。
二人目の妊娠がわかった時、中絶するか悩んだ末に産みました。北京市に届け出ると、平均年収の六年分の二十四万元(約四百五十万円)を社会扶養費(罰金)として請求されました。家財道具を売って払おうと考えましたが、ネットで調べたら、一人っ子政策に抗議して異議申し立てをする親がいると知りました。
彼らと交流するうちに、「自分は国策に逆らった」と洗脳されていたことに気づきました。子どもを産むことは天から授けられた権利。それがなぜ罪なのか。国が権利を奪うことはできない。私たちも異議申し立てをしました。
次女は三歳のころ、自分に戸籍がないことに気づきました。でも身分証は買えると思っているようで、缶に小銭を入れて貯金もしています。私がつい「もうじき身分証がもらえるよ」と言ってしまったことがあります。娘は興奮して喜び、「(身分証の)写真を撮る時、これを着るの」と洋服も用意しています。いたたまれない気持ちになります。
政府は以前、「無戸籍の子どもは千三百万人」と発表しました。実際はその何倍もいるでしょう。中国では、役人は一人っ子政策を徹底しないと出世できません。地方では罰金を払わない家庭の家財道具を押収したり、暴力を加えていると聞きます。北京に住む私たちは恵まれている方です。
「黒孩子」という言葉には抵抗がありますが、まだ我慢できます。でも「超生的」(余分の子)という言葉もあり、それは許せない。子どもはみんな宝物。余分な子なんていません!
一人っ子政策の廃止は遅すぎました。既に多くの家庭が罰金を払っている以上、私たちの罰金もなくならない。戸籍がなくとも義務教育は受けられるので、次女も小学校に通っています。でも高校、大学は無理。いずれ罰金を払うことも考えています。
姉妹が仲良く遊ぶ姿を見ると、本当に幸せを感じます。周りの人に「二人目を産んで後悔していない?」と尋ねられます。でも夫といつも話すんです。「あの時、中絶していたら、こんなかわいい子と出会えなかった。その方がずっと後悔していただろうね」って。
中国では一人っ子政策を突き進めた結果、親が一人の子どもに財力をつぎ込む生活様式に変わり、条件のよい進学、就職のために幼稚園選びから競争が始まるというギスギスした雰囲気が蔓延するようになった。無戸籍層は公式統計では国内で1300万人に達すると言われるが、二人目を産んで罰金が払えずに国外へ移住せざるを得ない例もかつてあったように思う。中国の内政問題ではなく、外交問題だと言ってもよい側面がある。
人口が多いからと抑制し、今度は一転人口が増えないからと緩和策に踏み切ったわけだが、日本の猫の目政策とも重なるところが多い。
今後とも影響を及ぼす問題であり、注目していきたい。
一人っ子性格
中国が人口抑制策として1979年に導入。違反者から高額の罰金徴収や拘束、強制中絶などの措置を取ってきた。この結果、昨年の0歳~14歳人口は全体の16.5%(世界平均27%)に。2013年には夫婦の一方が一人っ子の場合、2人目を認める緩和策を始めたが、出生数は大きく伸びなかった。政策緩和は来年から。
『ゼロからのスポーツ自転車 発見!快適の手ごたえ』
快適自転車研究会編『ゼロからのスポーツ自転車 発見!快適の手ごたえ』(学習研究社 2003)を読む。
今年前半に散々っぱら読んだ類のスポーツ自転車の入門書である。自転車選びから、快適に乗りこなすコツ、ワンディ・ライドの魅力、心拍数を考慮した自転車ダイエットなどが、イラスト入りで分かりやすく語られる。
特に自転車ダイエットの章は分かりやすかった。かいつまんでまとめると、どんなスポーツであろうと、心拍数120を中心に、(200−年齢)から(安静時の1.5倍)までの幅で運動強度を調整していくことが大切である。また、心拍数を上げると運動した気になるのは錯覚であリ、単に乳酸が溜まるだけで、筋肉中のグリコーゲンを消費するだけで、体脂肪はほとんど減らない。基本は心拍数120で20分以上を週4回、可能であれば週末に1〜2時間程度のライドが良いそうだ。空腹時の方が体脂肪が燃えるため、朝食前のライドが効果的である。また、ケイデンスは80〜100が一番体脂肪が燃えるとのこと。
ワンデイ・ライドの達人であるクボタタケオさんは次のように語る。
新しい道を走れば、楽しい発見の連続ですよ。他人にお膳立てしてもらってセッティングされたものをトレースするのが多い日常生活の中で、なぜ自転車が楽しいかというと、走る道の中に新しいことを次々と見つけられるから。寄り道して、その土地の風景や人間に出会うのは本当に楽しいですね。スタートとゴールがあっても、それを最短距離で走るより、道草して迷いながらそこで見えてくるものが興味深いんです。それを楽しいと感じることができれば、間違いなくワンデイ・ライドにハマっていきますね。