月別アーカイブ: 2013年11月

『春秋の色』

宮城谷昌光『春秋の色』(講談社 1994)を読む。
タイトルが興味深かったので手に取ってみたが、春秋時代を生きた人物伝ではなく、作者の経歴や近況報告、古典にまつわる蘊蓄話などの関するエッセーであった。
ちょうど1991年に直木賞を受賞した直後から1年くらいの間にあちこちの新聞や雑誌に掲載されたコラムがまとめられている。一つ一つの話は宮城谷氏の素の姿がみえて面白いのだが、直木賞受賞の経緯や大学時分の先生の話など同じような内容の話が繰り返され、後半は興味を失ってしまった。
編集側の旬なうちに直木賞作家の名前で売ってしまおうという思惑が見え隠れする作品であった。