池上彰『ずばりわかる!これが日本の問題点:ニュースの賢い読み方』(青春出版社 2005)を読む。
本棚に長い間眠っていた本であるが、経済系の小論文指導の一助として手に取ったみた。
テレビ画面では明確かつ完結にニュースを解説する姿が印象的であるが、文章だと論の進め方に少々粗さが目立つ。
「少子高齢化社会にも利点がある」とし、子どもの数が減ることで、親の持っている住宅が余り、住宅不足が解消し、都会の土地の値段も下がる。そして都会に人が戻ってきて、都会の夜が活性化し、さらに文化的なシティライフが送れるとあるのだが、あまりの想像力の逞しさに首を傾げたくなる。
また、2005年小泉内閣時代に書かれた本であるが、「小泉-竹中」の「構造改革路線」をそっくりそのまま礼賛するような主張が多い。福沢諭吉の偉業を取り上げるなど、自身の母校でもある慶応大学の人脈を重んじているのであろうか。
著者には失礼な話であるが、テレビ的な「分かりやすさ」の危険性がよく分かった気がする。
『ずばりわかる!これが日本の問題点』
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