日別アーカイブ: 2013年10月7日

『ほぼ日刊イトイ新聞の本』

糸井重里『ほぼ日刊イトイ新聞の本』(講談社文庫 2004)を読む。
2001年に刊行された単行本に加筆されたものである。「ほぼ日手帳」を使い始める前に、「ほぼ日」の背景について知りたいと思い手にとってみた。「ほぼ日」の創立前後の出来事と平行して、糸井氏の価値観や、ビジネスに対する思いがよく伝わってくる内容であった。糸井氏は49歳で「ほぼ日」を立ち上げている。私自身が40代を迎え段々その年齢に近づきつつあり、一人でもできるという自信を信頼して新しい分野に飛び込んでいくパワーに共感を覚えた。

『それでもぼくはやってない』

soreboku

地上波で放映された、周防正行監督・脚本、加瀬亮主演『それでもぼくはやってない』(2007 東宝)を観た。
最後まで全く笑いのない映画であったが、証言の信憑性だけが問われる痴漢冤罪事件の難しさがひしひしと伝わってくる良作であった。警察のメンツを潰さないために、警察が「捏造」した自白証言や証拠を鵜呑みにして起訴に持ち込む検察と、自己の保身、警察や検察との付き合いを優先させ、99.9%という確率で刑事事件の有罪を下す裁判所のありように真っ向から切り込んでいく。今回の地上波の放映枠では、最後に「告訴します」という力強い台詞の後に、長い戦いの果てに登場するドラゴンのように、最高裁が背景として映し出されエンディングを迎える。司法や警察行政の背後にあるどろどろした不気味な馴れ合い主義の公務員体質こそが裁かれなければならないのである。