地上波で放映された、周防正行監督・脚本、加瀬亮主演『それでもぼくはやってない』(2007 東宝)を観た。
最後まで全く笑いのない映画であったが、証言の信憑性だけが問われる痴漢冤罪事件の難しさがひしひしと伝わってくる良作であった。警察のメンツを潰さないために、警察が「捏造」した自白証言や証拠を鵜呑みにして起訴に持ち込む検察と、自己の保身、警察や検察との付き合いを優先させ、99.9%という確率で刑事事件の有罪を下す裁判所のありように真っ向から切り込んでいく。今回の地上波の放映枠では、最後に「告訴します」という力強い台詞の後に、長い戦いの果てに登場するドラゴンのように、最高裁が背景として映し出されエンディングを迎える。司法や警察行政の背後にあるどろどろした不気味な馴れ合い主義の公務員体質こそが裁かれなければならないのである。
『それでもぼくはやってない』
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