日別アーカイブ: 2013年10月1日

『すべての情報は1冊の手帳にまとめなさい』

蟹瀬誠一&「知的生産」向上委員会『すべての情報は1冊の手帳にまとめなさい:大事なことは「一元管理」する』(三笠書房 2008)を読む。
2、3年前に読んだ本を引っ張り出してきた。文庫本サイズの手帳を使いこなしていくテクニックと、手帳を通じて磨いていくビジネスマンの生き方が述べられている。夢や目標までの具体的なスケジュールを手帳に書き出して、何度も見ることが大切だと述べる。また、手帳は何でも書いていくインプットの道具ではなく、キーワードや固有名詞を元にして思い出すアウトプットの道具だと割り切って使うことが必要だとも述べる。そのために、講演会やイベントに参加した時に、全てを書くのではなく、情報を頭の中で整理し、何か一つの「キーワード」にまで凝縮して書き留めておくと、後で思い出しやすいと筆者は述べる。
ちょうど来年の手帳を買って、来年末までに実現したい夢や目標を頭の中で「熟成」させている時期なので、早速実践してみたい。

  • 手帳は情報をアウトぷっとするためのツール
  • 「毎日何度も見る—これが手帳の“威力”のもと
  • 月初めに「ブロックする日」を3日作る
  • 「目標管理」「情報管理」「健康管理」……これだけのことができる!
  • 手帳を「記憶のインデックス」として使う
  • 気に入った文章、言葉は、必ず書きとめる
  • 手帳に書くことは、夢の実現に道筋をつけること

大学案内研究:作新学院大学

1885年船田兵吾が創立した私立英下野学校が母体となっている。1988年に中国の古典『大学』にある「作新民」という言葉を借用して、私立作新館と改称されている。戦後は中学校と高校と理容美容専門学校の3校から出発している。1953年に幼稚園、1954年に小学校、そして1967年に幼児科短大と次々に開学している。学院創立100周年記念事業なのだろうか、1989年に経営学部の4年制大学を発足させている。そして、2000年に地域発展学部、2002年に人間文化学部が開設されている。さらに、1993年に大学院経営学修士課程、95年に博士課程、2006年に心理学研究科(修士課程)が開設している。しかし、学生の評判は芳しくなく、早くも2005年には地域発展学部を改組し、総合政策学部と看板を付け替えたものの、学生は集まらず、2010年に募集を停止している。また人間文化学部だけでは苦しいので、2012年に受験生を呼びこめる小学校教員養成課程を設置して挽回を期している。
2014年度は、経営学科に加え新たにスポーツマネジメント学科の開設が予定されている経営学部と、言語文化・心理・社会について横断的に学ぶ人間文化専攻と、小学校教諭養成に特化した発達教育専攻からなる人間文化学部の2学部体制となっている。

典型的な親族経営の大学で、創立者船田兵吾の長男の船田中が ○○議員、孫の船田穣が栃木県知事、曾孫にあたる船田元氏は法人の理事長職であると同時に、現在栃木1区選出の自民党の衆議院議員○期目を務めている。
宇都宮駅からバスで25分という不便な場所にある。また、宇都宮から東京都心の大学に通うこともできるためか、学生募集は苦労している。2013年度は定員○○名に対し、入学者は○○名となっている。

パンフレットも郊外型の新興大学にありがちな内容となっている。資格取得や就職支援、国立よりも安くなる奨学金、美しいキャンパス風景、さらに遊びと両立したキャンパスライフや就職即結のプロジェクトの立ち上げ、学外業者一任の海外留学、楽しいイベントなど、授業内容や教育課程以外は盛り沢山の内容である。硬式野球部と陸上競技部、サッカー部が強化指定部となっており、大学の宣伝に一役買っている。

パンフレットにあった次の宣伝文句が格好良かったので、引用してみたい。

古代ヨーロッパの人々が泉に集い、そこから文明が生まれたように……
古代ギリシャの学者たちが集い、学問の扉が大きく開いたように……
今、水を湛えた作大キャンパスに学生たちが集い、書物を手に取り、語り合い、自らの未来を見つめています。

大学案内研究:白梅学園大学

白梅学園大学、白梅学園短期大学の大学案内(2014年度版)を読む。
名前のイメージなのか、白百合女子大やら津田梅子(津田塾大学創立者)の名前と混同しているのか、女子大だと思い込んでいた。
子ども学部の4年制大学と保育科の短大なので、女子が圧倒的に多いのだが、短大設立当初から共学であり、男性保育士や男性幼稚園教諭の育成では日本のトップを走っているのではないだろうか。

1942年東京府小石川に創立された東京家庭学園が母体となっており、1957年に白梅学園保育科を廃止して白梅学園短期大学が設立されている。1964年に小平にキャンパスを移し、心理学科や教養科、福祉援助技術科が後に開設されている。そして2005年に子ども学部子ども学科を有する白梅学園大学が開設されている。短大にあった心理学科と福祉援助学科をそれぞれ4年制大学の方へ移行させ、2009年発達心理学科、2010年家族・地域支援学科が開設されている。また、2008年には日本初となる子ども学研究科子ども学専攻の大学院が置かれている。ちなみに「子ども学」とは、「子どもをめぐって、人間に関するあらゆる学問領域を統合」し、「子どもの発達とケアを学問的な視点で捉える」という雲を掴むような学問である。子ども学で博士号が取得可能ということだが、保育学とも教育学とも違う新しい領域の子ども学博士は果たして食っていけるのであろうか。
キャンパスの置かれている小平市は学園都市であり、白梅学園大学の他、一橋大学、津田塾大学、武蔵野美術大学、嘉悦大学、文化学園大学の6つの大学が置かれている。

教育や福祉系の分野なので、資格や免許取得が大学での学びの中心となっている。子ども学科では保育士、幼稚園教諭1種、小学校1種の3資格、もしくは保育士、幼稚園教諭、社会福祉士受験資格の3資格を取得することができる。ただし保+幼+小の場合の4年間の総合計数は158単位であり、保+幼+社福の場合は184単位にもなる。発達心理学科でも特別支援学校1種、幼稚園1種、小学校1種の3つの資格をとることができる。複数免許取得のため、現場実習も早い段階から行われる。
資格をできるだけ取得させて社会に送り出すという一昔前の専門学校の教育方針がそのまま大学に移行してきたような雰囲気の学校である。全てのページに資格やら免許取得の話が紹介されている。幼稚園や保育園からの求人が数多く寄せられ、2012年度の就職率は大学で98.8%、短大で99.2%の数字を叩き出している。

この白梅学園大学は驚いたことに、AO入試を実施していない。子ども学科の場合、推薦入試(公募制)が1回、一般入試が3回とセンター利用入試だけである。「だけ」というのも変だが、ここ数週間ほど、複雑な入試制度の実施している大学のパンフレットを手にすることが多かったので、シンプルな入試形態が新鮮に感じる。

短大の流れがあるとはいえ、まだできて10年に満たない大学である。現在は小学校教諭の採用試験のハードルが低いので、どこの大学も小学校教諭養成課程だけは人気を集めている。しかし、あと10年経って小学校の採用試験が一気に厳しくなった時が大学の真価が問われる時である。比較的就職がしやすい福祉の方に軸足を移すのか、幼保一元化を見越した教育を行うのか、幼小連携を突き詰めていくのか、しかし小学校教員採用冬の時代が見え始めた現在、改革をいつやるのか、今でしょう。一寸流行に遅れてますが。。。