白百合女子大学のパンフレット(2014年度版)を読む。
沿革を読むと、今から300年以上前の1696年シャルトル聖パウロ修道女会の活動から始まっている。1878年にフランス人修道女が函館に来日し修道院を創設し、1881年に東京神田に学校を新設、関東大震災後の1927年に九段に新校舎が建設され、1935年より現在の白百合学園中学・高等学校の前身にあたる白百合高等女学校と校名が改められている。1946年に白百合女子専門学校国文科が設立され、1950年に英文科と国文科からなる白百合短期大学となっている。1965年に現在地の調布に移転し4年制大学が開学されている。現在では国語国文科、フランス語フランス文学科、英語英文科、児童文学・文化専攻と発達心理学専攻からなる児童文学科の1学部4学科で構成されている。1学科定員100名、全学科で一学年400名の規模の小さい大学である。国文、仏文、英文の3学科は教員養成を前提としているようなカリキュラムとなっとおり、選考はあるもののどの学科に行っても、幼稚園教諭と小学校教諭の資格が取得可能となっている。
パンフレットは「お嬢様大学」と評されていることを意識しているのか、結婚式場のパンフレットかと思うような、緑に囲まれた教会のイメージで統一されている。偏差値的には日東駒専とちょうど同じレベルである。特に児童文学科児童文学・文化専攻が一番の看板学科となっており、幼稚園教諭・小学校教諭・司書資格が取得可能な上に、他大学にはない絵本やアニメを体系だって学ぶカリキュラムが整備されている。他学科と異なり修士課程も博士課程も定員を越えており人気ぶりが伺われる。
得てして進学実績の高い高校が郊外に作る大学は失敗が多いのだが、白百合女子大学はブランドに支えられ、大学のレベルを保っている。2013年度は定員400名のうち指定校推薦の合格者が179名となっている。全国各地に「白百合」と名のつく高校が7校あり、十分に指定校で数を稼ぐことができ、残りの220名枠を一般入試とAO入試に回すことになるため、2倍以上の倍率で受験者を選考することができる。
女子大全体が不人気で、資格取得の専門学校に近い形を進むのか、共学に変わるのかどちらかに舵を切らざるを得ない現在、「お嬢様」のブランドを全面に出す戦略は一定評価を得ているのであろう。都心からはいささか離れてはいるが、森の中のおしゃれな文学部というイメージが崩れてしまっては、京王線沿いの大学激戦区の中で他大との差別化を計るのは難しいであろう。