本日の東京新聞朝刊に、「敬老の日」に合わせ総務省が発表した人口推計によると、2013年の65歳以上の高齢者は前年に比べ112万人増の3186万人となり、総人口に占める割合は25.0%に達したとの記事が載っていた。今月15日時点で、70歳以上は総人口の18.2%、75歳以上は12.3%、80歳以上は7.3%である。さらに、国立社会保障・人口問題研究所は、2035年には65歳以上の割合は総人口の3人に1人の割合となると予想している。
老年人口1人に対する15歳から64歳の生産年齢人口の比率は、1960年で11.2人、1980年で7.4人、2000年で3.9人、2020年で2.2人という試算がある。すでに1人の老年人口に対して、3人を割る生産年齢人口比となっている。世代論に根ざした議論は得てして不毛なものである。しかし、団塊世代を中心に今後も際限なく増大していく社会保障費を若者世代が負担するという仕組みは、どうしても不公平感を拭えない。高齢者保護はどこの国の政府にとっても当然の方針であるが、すでに日本では年金制度含め破綻している。しかし破綻しているにも関わらず、選挙が近くなると、高齢者の票目当てに高齢者優遇を打ち出す政党が続出する。安倍自民党に至っては、中身の政策は育児世代や若者冷遇なのに、拝外思想を全面に出すことによりネット上の若者を中心とした右派論調を味方に付ける始末だ。
現在の若者や育児世代が、現在の高齢者と同じ待遇を受けられるような施策を打ち出す政党に期待したいが、これまた高齢化したマスコミに袋だたきにあってしまう。右も左も、国策も防衛も関係なく、とにかく現在の40代以下の社会保障を第一とする議員、政党に期待したい。自分たちの世代の20数年後の「敬老」を期して。
月別アーカイブ: 2013年9月
真鶴〜箱根
家族を連れて、箱根へ一泊旅行に出かけた。1週間前に思い立ったので、宿が空いておらず、箱根を満喫した後、ドライブがてら真鶴で一泊する予定で出発した。
しかし、3連休の初日で首都高は大渋滞であった。東名ー横浜厚木道路経由で箱根を向かおうとしたのだが、川口から池尻まで120分以上、さらに東名大和トンネル付近で20数キロの渋滞が発生というニュースを聞き、環七に降りて、第三京浜から横浜新道、西湘バイパス経由で向かうことにした。しかし、どこもかしこも渋滞だらけで、7時半に出発し、途中波打ち際で遊んだりして、なんだかんだ小田原に着いたのが3時前であった。箱根は明日に回し、真鶴まで一気に走った。しかし、真鶴道路まで渋滞でげんなりであった。真鶴港で妻と子どもは遊覧船に乗ったが、私は車の中でぐったり熟睡した。
次の日、台風が近づいているということであったが、湯河原を回って箱根に向かった。雨が降ったり止んだりしていたので、屋内でも楽しめるところということで、箱根園という家族向けのリゾート施設に行った。ロープウェイやモーターボートも運休しており、水族館と動物触れ合いの施設で時間を過ごした。「わざわざ箱根まで行って、動物かよ」と内心では毒を吐きながらも、小さい子ども連れにはぴったりの施設であった。
帰りは江ノ島や鎌倉の回ってベイブリッジを通って帰ってきた。江ノ電や鶴岡八幡宮を見て、神奈川の歴史や自然だけでなく都市文化をも味わうことができた。
パンフレット研究:亀田医療大学
亀田医療大学のパンフレット(2014年度版)を読む。
聞いたことがない大学だと思っていたら、2013年に開学した新しい大学であった。千葉県鴨川市で病床数1000床、職員数3000名(内 医者400名以上)、診療科33科を有する亀田メディカルセンターが、廃校となった旧鴨川中学校の跡地を活用して開設している。
学長に米ミシガン州サギノウヴァレー州立大学で看護教育に30年間携わったクローズ幸子教授を学長に迎え、田舎の大学にしてはといっては失礼だが、都心の大学と比べても遜色のない教養課程を設けている。その内容は、医療人文学や哲学、心理学、倫理学から、経済学、統計学、国際協力など多岐にわたる40科目が設けられている。定員80名、4学年揃っても320名の小規模大学で、これだけの充実した一般教養課程を維持することは難しいであろうが、大学の少ない地域なので、経営努力で頑張って維持してほしいと思う。施設の方も既存の施設を活用しているので、小規模ながら体育館や武道館、運動場など充実している。またそれらを活用したクラブ&サークルが次々に新設され、サーフィン部など珍しいサークルも人気を集めているようだ。食堂ではその日に水揚げされた新鮮な魚の刺身定食も振る舞われる。
学生集めは苦労しているようで、開設2年目の今年度もAO入試では全入状態である。また学費は高く、海外渡航費も含めて4年間で700万円近い学費がかかる。卒業後、同大学を経営する亀田メディカルセンターに4年間勤務すれば、月額45,000円、4年間で216万円の支援が受けられる。また、就業後の給与から毎月返済する形で月額60,000円の修学資金も受けることができる。その他の奨学金も受ければ専門学校並みの学費で卒業が可能となる。近隣の病院に就職が確保されているので、このような形がとれるが、奨学金という名目の借金漬けにして就職させるというのはベストな方法ではないだろう。
それにしても地域の中核を担う大学を期待されながら、理事長の名字を大学名に冠するというのは得策ではない。どこの大学なのか全く分からないし、理事会が全面的に出てしまい、大学の民主的な運営も期待できそうにない。太平洋や千葉、安房、房総などの地域名、もしくは平和や希望といった地域名や抽象概念を冠した大学名の方が学生は集めやすいだろうと思う。
膝のMRI
先日、右ひざの違和感が大きくなってきたのでMRI検査を受けた。
紹介文を持たされて、春日部秀和病院で受診することになった。大きなドーナツ型の穴に流し込まれるように台座が動いて、恐らく内部で機械が回転しながらバチンバチンと断面画像を撮っていった。
結局は学生時代に傷つけた半月板の内側の亀裂が痛みを引き起こしているという診断であった。3日から1週間程度の入院を伴う内視鏡手術で写真の尖っている部分を削れば治るということである。年齢的には曲がり角に来ているが、足の筋肉を鍛えておけばまだ大丈夫とのこと。
しかし、まだ日常生活は痛みもなく我慢できるのだが、「まだ若い」と言われるうちに手術に踏み切ろうかどうか思案中である。一日のうち十数回ほど膝の内側にじわっという違和感を感じるのだが、下半身麻酔で手術台に横になる緊張感に比べれば。。。
パンフレット研究:明治薬科大学
明治薬科大学のパンフレット(2014年度版)を読む。
大学の沿革が歴史の教科書のような書き出しで綴られている。パンフレットによると、1900年に欧米諸国と同様に医・薬を分業し、国民の健康向上を目指そうと、帝国議会に「医薬分業法案」が提出されたが、日本は医師の数に比べ薬剤師の数が極端に少なく、現況では分業を実施しても成り立たないという反対演説によりあえなく否決されたそうだ。そこで「薬剤師を養成する教育機関をつくろう」と立ち上がったのが、明治薬科大学の創学者・恩田重信だったのである。法案否決から2年後の1902年に神田三崎町に「東京薬学専門学校」を開校している。1906年に「明治薬学校」と改称、1907年に売りにだされていた小学校の校舎を買い取り、紀尾井町に初の独立校舎で講義が始まっている。その後も何度は移転を繰り返し、戦後は、駒沢の世田谷校舎と現西東京市の田無校舎に分かれていたが、1998年に清瀬キャンパスに全面移転をしている。学部も幾度か変遷を繰り返し、現在では6年制の薬学科と4年制の生命創薬学科の2学科で構成される薬学部だけの単科大学である。
パンフレット自体が薄手のもので、内容の詳細が分からないが、先日の昭和薬科大学と比べてあまりすっきりしない内容であった。昭和薬科の方は6年制の薬学科一本に統一したため、狙いもカリキュラムもシンプルなものとなった。そして教育内容がシンプルな分だけ、卒業後の進路は幅広いものになっていた。
しかし、明治薬科の方は、6年制移行後も4年制の学科を残したために、少々歪な棲み分けがなされている。薬学科は薬剤師養成を目的としているので、卒業後の進路は病院や薬局に絞り、逆に、生命創薬学科は薬学科の領域を侵さないように大学院との連携による研究者・技術者の養成というレールを敷いている。1・2年時は両学科ともほぼ同じ科目を受講するそして、3年次より薬学科は薬物治療学や医療コミュニケーション学が入ってきて、4年時の共用試験、5年次より大学病院などでの充実した施設での実習が置かれている。国家試験の合格率も高く評判が伺われる。
一方、生命創薬の方は3年次より分子生物学や分子構造解析などの授業が入ってくるが、最先端の生理学や分子生物学を学ぶに足る研究設備は少ない。また3年次より分子レベルの研究に入っていくため、創薬というレベルに辿り着くために数年の遠回りを強いられる。果たして明治薬科大学レベルで生命創薬という学科が必要なのだろうか。入試データを見ても6年制の薬学科に比べ、4年制の生命創薬の方は競争率、合格点ともにかなり低い。入学定員も薬学科300名に対して、生命創薬は60名である。6年制学科のカリキュラムも設備も共用している現状は、全日制高校の教室やグランドを共用する定時制高校に似ている。生命創薬のカリキュラムに2017年度入学生までは新4年制課程でも2年間大学院に通い、さらに2年実務実習などを行えば薬剤師受験資格を得られるという説明書きがあるが、薬学科の二番煎じと受け取られても仕方ないであろう。
国立大学や一部の私立大学では、臨床医療の側面の強くなった6年制よりも、研究優先の4年制を優先させる傾向にある。また新設の薬学部では薬剤師の国家資格を得ることだけに専念している学校が多い。明治薬科大学のように伝統ある学校ほど、研究という側面を残そうと薬科学分野の残すのであろうが、