亀田医療大学のパンフレット(2014年度版)を読む。
聞いたことがない大学だと思っていたら、2013年に開学した新しい大学であった。千葉県鴨川市で病床数1000床、職員数3000名(内 医者400名以上)、診療科33科を有する亀田メディカルセンターが、廃校となった旧鴨川中学校の跡地を活用して開設している。
学長に米ミシガン州サギノウヴァレー州立大学で看護教育に30年間携わったクローズ幸子教授を学長に迎え、田舎の大学にしてはといっては失礼だが、都心の大学と比べても遜色のない教養課程を設けている。その内容は、医療人文学や哲学、心理学、倫理学から、経済学、統計学、国際協力など多岐にわたる40科目が設けられている。定員80名、4学年揃っても320名の小規模大学で、これだけの充実した一般教養課程を維持することは難しいであろうが、大学の少ない地域なので、経営努力で頑張って維持してほしいと思う。施設の方も既存の施設を活用しているので、小規模ながら体育館や武道館、運動場など充実している。またそれらを活用したクラブ&サークルが次々に新設され、サーフィン部など珍しいサークルも人気を集めているようだ。食堂ではその日に水揚げされた新鮮な魚の刺身定食も振る舞われる。
学生集めは苦労しているようで、開設2年目の今年度もAO入試では全入状態である。また学費は高く、海外渡航費も含めて4年間で700万円近い学費がかかる。卒業後、同大学を経営する亀田メディカルセンターに4年間勤務すれば、月額45,000円、4年間で216万円の支援が受けられる。また、就業後の給与から毎月返済する形で月額60,000円の修学資金も受けることができる。その他の奨学金も受ければ専門学校並みの学費で卒業が可能となる。近隣の病院に就職が確保されているので、このような形がとれるが、奨学金という名目の借金漬けにして就職させるというのはベストな方法ではないだろう。
それにしても地域の中核を担う大学を期待されながら、理事長の名字を大学名に冠するというのは得策ではない。どこの大学なのか全く分からないし、理事会が全面的に出てしまい、大学の民主的な運営も期待できそうにない。太平洋や千葉、安房、房総などの地域名、もしくは平和や希望といった地域名や抽象概念を冠した大学名の方が学生は集めやすいだろうと思う。