石神賢介『婚活したらすごかった』(新潮新書 2011)を読む。
40過ぎの小太りで、著述業ゆえに経済的に不安定、貯蓄もほとんどない、東京郊外の三流私大文系学部卒で、バツイチというフル「低スペック」の著者が、自身の体験を踏まえてネット婚活やお見合いパーティのメリット、デメリット、そして、それらの攻略法を伝授する。また、結婚相談所や海を渡っての婚活事情についても論じられている。
月別アーカイブ: 2013年2月
『文化系トークラジオ LIfeのやり方』
鈴木謙介・長谷川裕・Lifeクルー『文化系トークラジオ LIfeのやり方』(TBSサービス 2013)を読む。
久しぶりに最新の新刊本を購入し、その日で読むという経験をした。月1回の深夜に放送される20代、30代の若手の論客によるトーク番組「文化系トークラジオ」
公式本である。
番組でメインパーソナリティを務める鈴木謙介氏とプロデューサーの長谷川裕氏のインタビュー記事と、3回分の放送の一部がテキスト化されている。
プロデューサーの長谷川氏は、「大学のサークルラウンジで、音楽や小説、漫画や社会の話をあれこれ喋るような感じで、学生時代の一番楽し思い出が再現されているような感覚」を大切にし、生放送のため、実際に顔を合わせて「物理的に集まらなければならない制約よって生まれるもの」を届けたいと述べる。
まだケータイがこれほど普及していなかった90年代半ばまでは、学生ラウンジやサークル部室には学生やOBが集まり、社会や将来についてのよまやま話に花が咲いたものだ。授業よりもそうした雑談にこそ学問のヒントがあったように思う。私自身が教室の中よりもキャンパスの内外で学んだことが今の自分を支えている。
長谷川氏自身が聴きたい内容を伝えるというのがコンセプトなのだが、私自身の不勉強を確認する意味でも、当事者感覚を味わいながら番組を聴き続けていきたい。
定点観測・国会前
昨年より東京新聞の土曜日の朝刊に、毎週金曜日に国会前で行われている反原発デモの一般の参加者の声が写真入りで紹介されている。私も毎週その記事を読み、参加気分を味わっていた。今週は毎週水曜日に「キャンプ座間」の前で座り込み行動をしている弁当店の店主の声であった。彼女は「基地と原発の問題は、どちらも子や孫の世代に負担を掛けるという点で、つながるものがある」とし、「将来の日本を支える若い世代には、基地や原発の問題を自分のこととして、もっと注目してほしい。インターネットを見て分かった気になるのではなく、こうした現場に足を運んでほしいですね」と述べる。
インターネットの記事や動画を見て満足してしまう若者に対する強烈なカウンターパンチを放っている。私も行こう行こうと思いながら、仕事や育児、往復の手間などを言い訳に一度も訪れたことがない。寺山修司の「書を捨てよ、町へ出よう」ならぬ、「ネットで済ますな、現場へ出よう」といった「行動し体験し、そして考える」必要性が問われている。
パンフレット研究:国際教養大学
2004年4月に廃校した大学の跡地を活用して生まれた秋田県にある公立大学で、企業からの評価が極めて高いことで今注目の学校である。2013年版大学ランキングにおいて、学長からの評価では教育分野で、金沢工業大学、国際基督教大学に継いで3位、総合でも、東大や京大に継いで5位である。また、外国人教員の比率は47.8%、高校からの注目の新設大学というランキングではぶっちぎりの1位である。1学年200人弱の小規模な田舎の大学であるが、すでに入試ランクでは東大文系に並んでいるそうだ。
しかし、パンフレットを読む限り、国際教養大学では、特別な施設を作ったり、特殊な課程や科目を置いたりしているわけではない。1年次は「英語で学ぶための英語力」の養成を目指し、ひたすら英語集中プログラムを受講する。2年次は基盤教育という名の教養科目を受講する。そして3年次からグローバルビジネス課程とグローバルスタディズ課程に分かれて専門を身に付ける。20年くらい前の前期教養課程と後期専門課程に分かれていた大学のカリキュラムとほぼ同じである。「国際」という名前の通りに、英語で授業をやり、1年間の海外留学を義務づけ、少人数制授業によるコミュニケーション能力の育成と、幅広い知識、異文化思考養成の繰り返しにすぎない。卒業に厳しいハードルを設けて、当たり前のことを当たり前にやっているだけである。
ただ、国際教養大学の一つ特異な点は、1年間の寮生活を義務づけていることである。数十年前は東京の大学に全国から学生が集まり、下宿生活やサークル活動を共にする中で、学生ならではの活力が生まれていった。しかし、現在は地元志向が強くなり、東京の有名大学も首都圏の学生ばかりになり、同質性が強くなり活力を失っている。そうした中で地元があまりいない田舎の大学に全国から学生が集まり、24時間の共同生活をするという環境は素晴らしい。その一点だけを取り上げても、企業が欲しがるというのも頷ける話である。
朝鮮学校の補助金停止
本日の東京新聞朝刊に、朝鮮学校への補助金打ち切りの記事が掲載されていた。東京新聞の良心がよく伝わってくる記事であった。
黒岩祐治神奈川県知事が北朝鮮の核実験の翌日に朝鮮学校への補助金停止を発表したことについて、神奈川大学法科大学院の阿部浩己教授は「首長の仕事は、日本国籍を持たない人も含め住民の生活を守ること。その任務をはき違えている」と指摘する。さらに「補助金を打ち切ることで核開発や拉致問題が解決するということはありえない。外交や政治が解決できないツケを、一番立場の弱い在日の子どもに回しているだけだ」と批判している。
神奈川県知事は「国際社会が強く反対する中で三回目の核実験が強行された。これ以上の補助金継続は県民の理解が得られない」と述べたそうだが、中間人民共和国系の外国人学校などの県内の他の外国人学校においても、その政府の動向で補助金を打ち切ったりするのであろうか。一方的な弱いものいじめをしているとしか思えない。「県民の理解を得られない」のではなく、選挙で支持してくれた自民党や民主党の県連の理解を得られないだけであろう。見識ある政治家なのだから、いたずらな国政のムードに流されずに知事の職を全うしてほしいと思う。