亀山香苗『マリッジ・セックス』(新潮社 2006)を読む。
30代から60代の20組弱の夫婦の性愛についてのインタビュー記事である。
露出プレイやSM、3P、さらには、スワッピングやグループセックスなど、夫婦のアブノーマルな性癖がこれでもかと暴露される。官能小説を読んでいるような興奮すら感じる内容である。
しかし、何十年と結婚生活を過ごすと、どうしても夫婦関係はマンネリ化したりギクシャクしたりしてしまう。また得てして夫婦の生活も遠のいてしまう。そうした時に、セックスが愛情の確認や、単調な生活の良い変化となると著者は述べる。また、夫婦相互の理解が不足している場合は、SMやスワッピングなど、肉体的な感覚や嫉妬感情を通して夫婦の絆が生まれる点などを指摘している。
個人的には、次の一節が印象に残ったので引用してみたい。
スワッピングをしている人たちを見てきて、私個人は、自分がするのはいいとしても、夫が他の女性とするのを見るのは嫌だなあと感じたことがある。女性達は案外、そういう思いを抱いているのではないだろうか。
嫉妬というマイナス感情をうまく愛情に転化できる、と言う男性は少なくない。だから、たとえば3Pなどの場合、男性ふたりのほうがうまくいく、と彼らは言う。女性がふたりだと、どちらも傷つけてはいけないという配慮をしているだけで萎えてしまうそうだ。自分が嫉妬している分には、その感情をうまくコントロールできるが、女性の嫉妬のありようを想像したり受け止めたりするのはむずかしいのだろう。
女性は基本的には受け身だから、男性がうまく雰囲気に乗せてくれれば、男性ふたりだろうが、乱交だろうが、自意識も気遣いも飛ばして自分の快楽に浸れるのではないだろうか。ところが、自分が嫉妬する側に回ると、それを他の感情に転化はできない。