地上波番組「シアター092」で放映された、原田知世主演、澤井信一郎監督、音楽担当久石譲『早春物語』(1985)を観た。
主演の原田知世さんが輝くことを前提に作られた、半分子ども半分大人の多感で、微妙な、そして危険な年頃の恋愛物語である。
昨日に続いて、音楽を聴くつもりで見始めたのだが、後半からずるずると映画の内容にひき込まれてしまった。確か高校1年生か2年生くらい、つまりは映画が公開されて5年後くらいにビデオを借りて観たような記憶がかすかに残る映画である。当時は主演の原田知世さん演じる主人公と同じ年齢であったのだが、大人の恋愛ということであまり感情移入できず印象に残らなかった作品であったと思う。
しかし、今回は女子高生が恋する対象の中年男性の方と近い年齢になったせいもあり、喜怒哀楽が激しく小悪魔的な女子高生に恋する中年男性の視点と、まだまだ子どもという立場で娘を捉える父親の視点の両方から味わう事ができた。
最初は中年男性に自分をなぞらえて高校生と付き合う自分の姿を思い描いたりしてみたが、後半はそんな女子高生の若さについていけない中年男性の姿に自分を重ねてしまうはめになった。
スケジュールが足らなかったのか、物語の展開に粗さが目立つが、これから成長していく女子高生と、これから下り坂を降りていく中年男性の対比が鮮やかであった。