月別アーカイブ: 2005年12月

耐震強度偽装事件

 今日のテレビのニュース番組は、耐震強度偽装事件におけるヒューザーや木村建設、総合経営研究所、姉歯建築事務所への一斉家宅捜査のニュース一色であった。110ヶ所に捜査員が約520人も動員されたそうで、その数はオウム真理教以来の動員ということだ。

 ここ1ヶ月ばかり新聞やテレビでさんざん疑惑追求の報道がなされたので、捜査員が大挙して会社に押し入る場面に、水戸黄門や遠山の金さんよろしく溜飲を下げた視聴者も多いことだろう。偽装マンションの住人からも「誰が一番悪いのか明らかにしてほしい」「誰が責任をとるべきなのか真相を解明してほしい」との発言が相次いだ。国会での茶番劇やマスコミの扇情的な報道で大衆を不安に陥れた上で、権力が一刀両断に制裁を加えるという構図は、石原都知事の誕生やオウム真理教における破防法適用審議を彷彿させる。マンション購入者はそのマンション選択のミスを問われることのない徹底した「弱者」であり、そうした弱者を苛める悪代官は白日の元にさらし出して公権力の裁きで圧殺すべしと、大衆が期待するそうしたカラクリにこそ、大きな危険が潜んでいる。

『玩具修理者』

 小林泰三『玩具修理者』(角川書店 1996)を読む。
 第2回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞した表題作とタイムトラベルを主題としたSF中編小説「酔歩する男」の2編からなる。登場人物の独白で物語が展開していく。テンポもよく一気に読んでしまった。
 「玩具〜」の方は、おもちゃを修理するように一度全てのパーツに分解されて組み立てられたヒトは果たして生物と言えるのかどうか疑問を提示する。また、「酔歩〜」では、登場人物がタイムトラベルに翻弄されながら、時間というものは過去から現在、未来へと因果律を踏まえて一直線に流れていくものなのかどうかという古典的な不安が描かれる。典型的なSFのプロットを踏まえている「酔歩〜」の方が面白かった。

『介護福祉士になるには』

大橋謙策・渡辺裕美編著『介護福祉士になるには』(ぺりかん社 2000)を読む。
高校生向けの「なるにはシリーズ」の一冊で、介護福祉士の仕事の概要に始まり、待遇や将来性、国家試験や専門学校の紹介まで網羅されている。また、今や日本社会事業大学の学長となった「熱血」大橋教授による「地域福祉論」の入門書ともなっている。大橋氏は地域福祉を「地域での自立生活保障が可能になるシステム」として展開されるものであり、それは「ノーマライゼーション思想を具現化する新しいシステム」だと定義する。さらに、その実現に向けて「行政に対する要求や告発だけでなく、行政に言うべきことはきちんと言う」ことが大切であり、「地域住民の社会福祉に関する生涯学習が求められる時代である」とまとめる。

『IN HER SHOES』

inhershoes_movie

キャメロン・ディアス主演『IN HER SHOES』(2005 米)をさいたま新都心へ観に行った。
キャメロン・ディアスの笑顔と演技が光る映画であった。交通事故によって早くに母親を亡くした姉妹とその父親、祖母たちが、お互いのあるべき家族像を巡って対立する。タイトルからして女性向けのおしゃれな映画かと思ったが、いかにも現代アメリカらしいテーマで、自立した個人によって構成される家族愛が模索される。

日本で姉妹の物語というと、「姉—妹」という上下関係を前提とした依存関係がテーマになりやすい。しかし、アメリカでは姉も妹も同じ”sister”という語で括られ、上下関係ではなく、幼なじみの親友に近い関係で成り立っている。そのような微妙なsisters関係を日本人の男性が理解するのは難しいと感じた。

下手くそな文章

ここしばらくの読書日記を読み返すと、やたら漢字を使い、主語と述語の関係が崩れてしまっている下手くそな文章になっている。昼間「ひらがな」に囲まれている仕事なので、夜に向かうパソコンでは、その反動でつい漢字を多用してしまうのだろうか。下の文章も書いているうちに訳が分からなくなってしまった。。。