東京新聞の記事より転載
アメリカの現代音楽作曲家として知られるフィリップ・グラスはダライラマの半生を描いた『クンドゥン』や,ピュリツァー賞受賞の小説を映画化した『めぐりあう時間たち』の音楽で米アカデミー作曲賞候補になるなど,近年は映画音楽作曲家としても高い評価を受けている。その彼が過去15年以上にわたり,欧米各地で生演奏上映のコンサートをおこなっている作品が,日本でも20年以上前に公開されたドキュメンタリー映画『コヤニスカッティ』とその続編『ポワカッティ』である。
アメリカ先住民族ホピの言葉である「平衡を失った生活」という意味を持つ『コヤニスカッティ』は環境破壊と先進国文明の明暗を特殊撮影でとらえた作品。一方,「自己の繁栄のために他者の生命力を消費する存在,あるいはその生活様式」という意味を持つ『ポワカッティ』は,南半球に残る多種多様な伝統文化を色彩豊かなカメラワークで収めている。
しかしグラスがこの