月別アーカイブ: 2002年3月

岩槻公園へ

今日はお花見に岩槻公園へ出掛けた。3月のこの時期でもうすでに満開であった。明日辺りから散り始めるのであろう。昨年も早かったが、今年の桜の開花は異常である。しかし桜は散り際がひときわ美しい。余談であるが、日本の国花といえば桜ではなく菊である。なぜならば桜は散ってしまうから永遠に続く天皇制にとって縁起が悪いというのである。

春過ぎて/夏来にけらし/白妙の/衣干すてふ/天の香具山

百人一首の中でも持統天皇が歌ったこの歌が特に好きである。それは私は一年の中で桜が散った後の夏が来るまでのこの季節が一番好きだからである。解釈としては春が過ぎて夏が来たらしい、真白な衣を天の香具山に向かって干すというものである。単純な歌であるが、さわやかな歌である。私も今は花粉症なので、洗濯物を家の中で干している。乾きが遅くて困っている。しかし桜が散るのとほぼ同時に杉花粉の飛散も止むので、これからは洗濯物を気持ち良く干せるようになる。花粉症が席巻している現代こそ、季節感があふれ風情が感じられる歌となっている。

昨日の東京新聞夕刊より

昨日の東京新聞の夕刊の「世界の文学」というコラムに詩人佐川亜紀さんの文章が掲載された。
その中で韓国の労働者の詩を紡ぐ朴ノへが紹介された。日本、アメリカ、北朝鮮と多くの国家の論理に翻弄された韓国の労働者を真摯に、そして暖かく見守る視点が多くの読者の共感を生む。現在の日本にはプロレタリア文学が成立する余地がない。その背景には共産党の文化政策の貧困さが挙げられるが、一方で詩という極めて素朴な文学を変に高尚なものとしてしか紹介されない学校国語教育の貧困さも同時に指摘されなければならない。ここで一つ朴ノへの「もう一度」という詩を紹介したい。

希望に満ちた人間は
彼自身が希望だ
道を探す人間は
彼自身が道だ
ほんとうに良い人間は
彼自身がすでに良い人間だ
人間の内に存在している
人間から始まる
もう一度
人間だけが希望だ

日産マーチ

march

日産のマーチが好評だそうだ。オレンジ色の背景にかわいい目がきょろきょろするCMも好印象である。ヴィッツ・フィット以降、リッタークラスの低燃費車の市場が着実に拡大している。今度もマーチも息の長い商品となりそうだ。ただ、マーチに乗っているカルロスゴーン氏を見ていると妙にぴんとくるものがある。それはカルロスゴーン氏の顔を上下にぺちゃんこにして前後に引き伸ばすと新型マーチに似ている気がするのだ。あくまで気のせいであるが。

『家族シネマ』

第116回芥川賞受賞作、柳美里『家族シネマ』(講談社)を読む。
正直展開にドキドキする作品ではない。家族という共同体に対する否定、血がつながった家族すらも「登場人物A」という記号になってしまう現代家族風景を場面展開の素早いテンポよい文体で描いている。

『爆笑問題の日本原論2000』

太田光『爆笑問題の日本原論2000』(メディアワークス 1999)を読む。
様々な時事・芸能の事件を茶化しつつも問題点にうまく焦点を当てている。実際の掛け合いよりも活字の方がより深く笑えて面白い。ゴーストライターではなく、太田光氏本人が書いているのだろうか、まとめ方が大変にうまい。

(新ガイドライン関連法案成立について)
太田ー日本は戦争しないだろ、憲法第九条があるんだから。
田中ーだから、それをも無視して参議院で可決されちゃったから、みんな騒いでいるんだろうが! 新ガイドライン
というのは、新しい日米防衛協力指針のことで、日本の周辺で危機が起きたときに、日本がそれにどう関与す
るかってことの取り決めだよ。
太田ーああ、マウスとかスキャナーとかな。
田中ーそれは周辺機器だろ! 俺が言ってんのは「周辺の危機」のことだよ。たとえば、アジア太平洋で武力紛争が
起こって、それにアメリカが参戦した場合、日本はアメリカを後方支援しなきゃならないってことだよ。
太田ー後方支援ぐらいなら、別にしたってそう問題じゃねえだろ。
田中ーところが、この後方支援ってモノの定義が、なかなか難しいんだよ。
太田ー後ろの方でフレー、フレー、ア・メ・リ・カ!って、言ってりゃいいんだろ。
田中ーそれはただの応援だよ!
太田ーガンバレ、ガンバレ、アメリカ! ガンバレ、ガンバレ、アメリカ! オーッ!
田中ーお前、そんなことやってると、世界中から袋叩きにあうぞ。それじゃなくても日本はもともとアメリカにおん
ぶに抱っこで、自分じゃ何にもしないって批判されてるんだから。石原都知事なんか「もっと自主性をもって
軍事活動するべきだ」とか言って、場合によっては憲法を改正してもいいようなこと言ってるみたいだからね。
太田ーまあ、勃起したポコチンで障子破っちゃう男だからな。よっぽど自分の大砲に自信があるんだろう。
田中ーそれは『太陽と季節』に出てきたワンシーンってだけのことだろ!