昨日の東京新聞の夕刊の「世界の文学」というコラムに詩人佐川亜紀さんの文章が掲載された。
その中で韓国の労働者の詩を紡ぐ朴ノへが紹介された。日本、アメリカ、北朝鮮と多くの国家の論理に翻弄された韓国の労働者を真摯に、そして暖かく見守る視点が多くの読者の共感を生む。現在の日本にはプロレタリア文学が成立する余地がない。その背景には共産党の文化政策の貧困さが挙げられるが、一方で詩という極めて素朴な文学を変に高尚なものとしてしか紹介されない学校国語教育の貧困さも同時に指摘されなければならない。ここで一つ朴ノへの「もう一度」という詩を紹介したい。
希望に満ちた人間は
彼自身が希望だ
道を探す人間は
彼自身が道だ
ほんとうに良い人間は
彼自身がすでに良い人間だ
人間の内に存在している
人間から始まる
もう一度
人間だけが希望だ