昨夜遅くまで小池真理子『殺意の爪』(徳間文庫)を読んでいた。
最後まで犯人を絞らせない展開は読者を飽きさせない。後半部はリズムのある文体で勢いがあった。しかし結局は被害者が懇意にしていた友人の夫が犯人だったという、意外な盲点をついたどんでん返しな結末はいただけない。特異なフェティシズムを持った異常心理の人間が、普段は平凡な社会人や家族の仮面をかぶって生活しているという設定は、安直なサスペンスドラマを生みやすい。つい2・3年前のハリウッド映画がそうであった。
『殺意の爪』
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