読書」カテゴリーアーカイブ

『天河伝説殺人事件』

内田康夫『天河伝説殺人事件』(角川文庫 1990)を読む。
一昨日まで同氏の『熊野古道殺人事件』を読んでいたのだが、電車内で眠りこけてしまった際に、どこかへ忘れてきてしまったようだ。
その代わりという訳ではないが、夏休み最後の読書のつもりで手に取ってみた。上下巻に分かれ、この手のミステリーとしてはかなりの長編である。
京都や奈良から見ると、吉野の奥地にあるのが、作品の舞台となった天川村や十津川村である。山深い谷間の村に纏わる殺人事件ということで、天川村の位置関係や地名などを地図で確認しながら読み進めていった。「本格」ミステリー作品であるにも関わらず、能楽に関する蘊蓄も理解できる、一冊で2度美味しい作品である。

『ねじれた伊勢神宮』

宮崎興二『ねじれた伊勢神宮:「かたち」が支配する日本史の謎』(祥伝社文庫 1999)を少しだけ読む。
建築を専門とする著者が屋根の形や建物の形から伝説や言い伝えを検証するという、歴史蘊蓄好きな者には興味ある内容となっている。しかし、タイトルに「伊勢神宮」とあったので手に取ってみたが、伊勢神宮に関する記述はほとんどなく、羊頭狗肉な内容であった。興味深そうな話もあったのだが、タイトルに騙されたような気がして十数ページ読んだだけで読了。

『紀伊半島殺人事件』

西村京太郎『紀伊半島殺人事件』(祥伝社文庫 2003)を読む。
物語の半分ほどまでは、不可解な連続殺人事件で謎が深まっていき、東京と和歌山の警察が右往左往する姿に関心が高まっていった。この辺りの展開は西村氏一流のリズムであろう。しかし、後半に入ると、お馴染みの十津川警部の推察した展開そのままに現実が動いていき、「前半までの捜査は何だったんだ」とツッコミを入れたくなってしまった。せっかく地図を広げて楽しみにしていた空想上の旅気分が台無しになってしまった。

『紀勢本線殺人事件』

西村京太郎『紀勢本線殺人事件』(光文社 1991)を読む。
読みやすい文体で、テンポよく話が連続殺人事件が展開していくので、一気に読んでしまった。しかし、話としては出来すぎており、警部と一緒に事件を考えるような「間」がなく、印象に残るような作品ではなかった。

ここ最近、伊勢・志摩・南紀の地理に詳しくなりたいと思い、地名を含んだ旅情ミステリーを手当り次第に読んでいる。しかし、読めば読むほど、東京の出版社側の、有名な観光地の名前を並べただけの、安易な企画の思惑が見えてきてしまう。今回の作品も、タイトルに「紀勢本線」とあるが、松本清張の作品のように、時刻表の隙を狙うようなトリックやその土地に根ざした暗い背景があるわけでもない。こうした「地名+殺人事件」シリーズは、たまにはいつもの満員の通勤電車の車窓とは異なる景色を見たいと願うサラリーマンの気晴らしであって、集中して連続してよむべき本ではないのであろう。

『西行伝説殺人事件』

木谷恭介『西行伝説殺人事件』(徳間文庫 2007)を読む。
1995年4月に刊行された本で、殺人事件のきっかけの一つに阪神大震災が使われている。
西行やら阪神大震災やら国家公務員の使命感やらを盛り込み過ぎたためか、肝心の連続殺人事件の解決に向けたハラハラドキドキ感が薄かったように感じる。