村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』(文芸春秋 2013)を読む。
3日に分けて読んだのだが、さっき読み終えたところの、つくるがフィンランドに住むエリに出会って日本に帰ってきた後日談は全く頭に話が入ってこなかった。自覚はしていないが、酔いも入っているせいもあり、相当に疲れが出ているのか?
前半のミステリー的展開は面白かった。しかし、30代半ばの焦燥感や未練といった人生の転換期に特有な心境は理解できなかった。
村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』(文芸春秋 2013)を読む。
3日に分けて読んだのだが、さっき読み終えたところの、つくるがフィンランドに住むエリに出会って日本に帰ってきた後日談は全く頭に話が入ってこなかった。自覚はしていないが、酔いも入っているせいもあり、相当に疲れが出ているのか?
前半のミステリー的展開は面白かった。しかし、30代半ばの焦燥感や未練といった人生の転換期に特有な心境は理解できなかった。
三浦しをん『舟を編む』(光文社 2011)を読む。
雑誌「CLASSY」の2009年11月号から2011年7月号に連載されたものである。
読み出したら止まらなくなった。足掛け15年にわたる辞書作りの現場が舞台となっている。登場人物が丁寧に描き込まれいるので、辞書作りのノウハウに加え、仕事にかける情熱も伝わってきた。
作者の執筆に対する真摯な姿勢が、作品を通して読者にひしひしと伝わってくる。最近、紙の辞書を引くことも少なくなったが、大判の辞書を手もとに置いておくのもいいなと思う。
第54回文藝賞受賞作・第158回芥川賞受賞作、若竹千佐子『おらおらでひとりいぐも』(河出書房新社 2017)を読む。
不思議なパワーのある作品であった。標準語による説明文章と遠野方言による会話表現が巧みに入り混じる。
あえて表現するなら、死に向かいゆく青春小説であろうか。寡婦となり、何事にも老いを感じるようになった桃子さんが、思春期特有の自己分析、自我の獲得を追体験する。
内田康夫『上海迷宮』(徳間文庫 2007)を読む。
2004年に刊行された本の文庫化である。
ちょうど中国経済が爆発的に伸びてきて、「世界の工場」と称されるようになった2000年代初頭の上海の急激な開発が殺人事件の背景となっている。
古い町や風景、そこに息づく人情なども切り捨てながら、国家主導で進んでいく中国の経済成長を、日本の高度経済成長に擬えつつ、懐疑的に描写しているのが印象に残った。
文庫で400ページ弱の中編小説なのだが、読むのにやたら時間がかかってしまった。年末年始にゆっくり休んだので、気持ち的には落ちついているのだが、どこかで疲れが出ているのであろうか。
姫乃たま『職業としての地下アイドル』(朝日新書 2017)を読む。
一般的に、近寄りがたい存在で、極めてマニアックでディープな世界という印象が強い地下アイドルについて、一応の学術的な分析を加えた内容である。「地下アイドル」というと、地下のステージを燻っているイメージが強いが、今をときめく橋本環奈さんも福岡県のローカルアイドルユニット出身である。「奇跡の1枚」と称された画像がインターネットで瞬く間に広がっていったシンデレラストーリーである。
著者の分析によると、地下アイドルの世界はアイドルとファンが持ちつ持たれつの相互依存の関係が成立している。地下アイドルになる女の子はいじめ体験を持っている人も少なくなく、観客から声援をもらったり、物販に会いに来てもらったりすることで承認要求を満たす。またファンの側にもアイドルの子たちに認知されて、レスをもらいたい欲求があり、応援することが認知に繋がるため、自然と互いを満たし合う関係になる。
また、地下アイドルは必ずしも容姿に恵まれた人が成功するわけではない。法政大学越智啓太教授によると、外見的魅力がつりあっていないカップルが早く別れることが統計的に明らかにされている。自分と釣り合いのとれた容姿の人と付き合うのが合理的な選択である。地下アイドルとファンの関係はお互いに求め合っているので、容姿以外の点が評価されやすいという側面がある。