『おらおらでひとりいぐも』

第54回文藝賞受賞作・第158回芥川賞受賞作、若竹千佐子『おらおらでひとりいぐも』(河出書房新社 2017)を読む。
不思議なパワーのある作品であった。標準語による説明文章と遠野方言による会話表現が巧みに入り混じる。
あえて表現するなら、死に向かいゆく青春小説であろうか。寡婦となり、何事にも老いを感じるようになった桃子さんが、思春期特有の自己分析、自我の獲得を追体験する。