『宇宙と生命の起源』

嶺重慎・小久保英一郎編著『宇宙と生命の起源:ビッグバンから人類誕生まで』(岩波ジュニア新書,2004)を読む。
京都大学大学院理学研究科の教授が中心と編集を担当しており、タイトル通り、143億年前のビッグバンの解明に始まり、宇宙空間に水素とヘリウムが多い理由や、超新星爆発によって鉄までの元素が作られる過程などが丁寧に説明されている。最後はもうヤケクソ(笑)で、進化生物学者の教授による鉄と炭素からアミノ酸が作られる実験も紹介されている。京都大学らしいというか、中高生向けに宇宙スケールから細胞、分子、ニュートリノレベルまで、科学の魅力がたっぷりとつまっている。

天の川銀河やアンドロメダ銀河と並ぶ、銀河群として大マゼラン星雲や小マゼラン星雲がある。南天にあるため、北半球の日本からはほとんどみることができない。大航海時代にスペインのマゼランが世界一周(本人はフィリピンで死去)の際にヨーロッパに伝えたことに由来する。

哺乳類は胎内で幼児を産んで、母乳で育てる。その哺乳類の最大の特徴は、代謝機能が向上して、体温を調整する能力をもっていることである。哺乳類が進化したのは恐竜時代の真っ只中である。恐竜は気温が低下する夜間は活動をしない。哺乳類はその夜間に活動することで、恐竜時代を生き抜いたのである。

読みながら、ドラえもんの秘密道具にあった「地球セット」を思い出した。子どもの頃は何気なく読んでいたが、地球や生命の誕生をしっかりと踏まえた道具であった。