地理」カテゴリーアーカイブ

「地理学で納得! イタリアでコロナ感染が拡大した理由」

朝日新聞社のサイトに、なぜ中国で新型コロナウイルスの感染が報じられた後、遠く離れたイタリアで次に感染が爆発したのかという記事が掲載されています。
こうした感染ルートの学習も、中国の貿易政策(「一帯一路」)やEUの人の移動の自由化(「シェンゲン協定」)などで扱います。

「地理学で納得! イタリアでコロナ感染が拡大した理由」

「中国で食料品を買い占め多発」

本日の東京新聞朝刊に、ロシアやベトナムといった食料輸出国が相次いで輸出制限に動いており、中国で穀物の買い占め騒動が起きているとの記事が掲載されていた。

地理の農業分野で必ず扱う事柄に、4大穀物の生産国、輸出国、輸入国の上位国がある。4大穀物とは米、小麦、とうもろこし、大豆の4つであり、いずれも主食として人間の摂取カロリーの主要をなすものである。中国は農業が盛んなので、いずれの生産量も多いが、国内の消費量も多いため、輸出には一切回していない。

パンやパスタ、ラーメン、うどんの原料となる小麦は、世界の生産量は第1位のフランスを含むEUに続いて、中国、インド、ロシア、米国と続く。しかし、輸出量は、第1位がロシアとなり、EU、米国、カナダ、オーストラリアと続いていく。世界人口の1位と2位を占める中国とインドがすっぽりと抜け落ちる。

人間だけでなく、家畜の餌ともなるとうもろこしも同様で、世界の生産量は第1位の米国、中国、ブラジルの3ヵ国だけで、世界生産量の半分以上を占める。しかし、輸出は「穀物メジャー」に仕切られている点もあり、米国、ブラジル、アルゼンチン、ウクライナの4ヵ国で世界のほとんどの市場が独占されている。

米や大豆も様相は同じであり、農業分野を考えていくには、気候や土壌、国土面積だけでなく、人口や企業的農業、貿易体制など多岐にわたる知識が必要である。

コロナ ウイルスのニュースばかりが目立つが、その副作用として世界の経済が大きく揺さぶられている。今年度の地理の授業もこれまでと全く違う統計データを元に内容を再構成する必要がありそうだ。

「ロヒンギャ密航 後を絶たず」

本日の東京新聞朝刊に、ミャンマー国内で難民化しているロヒンギャが取り上げられていた。こちらも授業が再開されたら、是非触れたいと思っている話題である。

ロヒンギャとは、仏教国のミャンマー国内で生活するイスラム教徒の少数民族である。長い間、ミャンマー国内で生活していたのだが、アウンサン・スーチーさんが国家顧問に就いてから、軍事力まで行使して弾圧が強化されている。ミャンマー政府はイスラム教国の隣国バングラデシュへ追い払おうとしたのだが、バングラデシュ側も経済的に受け入れることはできず、ミャンマーとバングラデシュの国境付近の難民キャンプでの足止めが続いている。

記事によると、同じくミャンマーの南側と国境を接しているマレーシアへの密航が相次いでいるという。言語や生活習慣の違いなどの溝は大きいが、マレーシアは経済的にも成功しており、マレーシアで共存する基盤が生まれることを期待する。

労働の場があるところ、金の落ちるところに人口が移動するのは経済の大原則である。ちなみに、一人当たりの名目GDPは以下の通りとなっている。
米国:62,869ドル
日本 :39304ドル
マレーシア:11,072ドル
バングラデシュ:1,749ドル
ミャンマー:1,300ドル

「総人口減 過去最大」

本日の東京新聞朝刊に、少子化がもたらす自然減と、人口の偏在がもたらす社会減に関する記事が掲載されていた。地理学の世界では、社会や産業、農業など人間が関わる分野を人文地理学といい、人間が介在しない地形や気象などの分野を自然地理学といい、両者を総称して系統地理学という。また系統地理学を土台に世界の地形や気候、宗教、農業、産業などを学習する分野を地誌学という。
すでに日本に関しては、中学校で系統地理学と地誌学の両面からの学習を終えている。高校ではもう少し深く系統地理学を学んでいき、日本を除いた世界地誌を学んでいくことになる。人口は単なる数字の暗記ではなく、そこに社会の総体が象徴されており、産業の進展や経済が見えてくるものとなっている。

日本に住民票がある外国人が240万人を超える一方、日本人の人口はこの10数年の間、一貫して減り続けている。社会を支える生産年齢人口の減少分を外国人労働者が担っている状況が見えてくる。そうした外国人に対する公的支援の充実と、日本語を母語としない子どもたちが増えていく中で、教育の機会の確保が求められる。
この点はまた授業の中で触れていきたい。cf.夜間中学、定時制高校、ワラビスタン

「湾岸諸国の外国人労働者 失職 自宅待機 差別懸念」

今年度より2年生理系の地理Aと世界史Aを担当することになりました。
本来なら来週より授業が始まるのですが、新型コロナウイルス感染拡大による臨時休校のため、皆さんにお会いすることができません。

対面での「授業」は出来なくても、自宅での「学習」は様々なツールを用いて可能です。少し模索してみたいと思います。とりあえずは、新聞記事から地理・世界史に関する記事を拾ってみたいと思います。休校中は週に3回ほど記事をアップしていきますのでご覧ください。

本日の東京新聞に朝刊より
アラビア湾に面している産油国の「湾岸協力会議」を構成するアラブ首長国連邦、バーレーン、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビアの6ヵ国で働いている外国人労働者の待遇が悪化しているとの記事である。
今後地理の授業の中でも扱っていくが、世界の国別人口の1位と2位の中国とインドの両国は国内だけでは就労の場が少ないので、ビジネスチャンスを求めて世界中に移住している。そうした両国の労働者は、それぞれ「華僑」「印僑」と呼ばれている。特に「印僑」の人々は、マレーシアやシンガポール、中東諸国、アフリカ東海岸諸国など、インド洋に面した国で、生活の拠点を築いている。

記事によると、排外主義的な雰囲気が高まっているようで、パキスタンやバングラデシュを含めた南アジアの人たちは失職や自宅待機などの憂き目にあっている。しかし、故国に帰っても、彼らに生活の保証はない。さりとて原油価格も大きく暴落しているので、中東諸国にいて働き口は少ない。

2020年1月には原油価格1バレル60ドル近くあったのが、2020年4月現在は23バレルと半分以下となっている。ちなみに1バレルとは原油159リットルを示す単位である。

学校再開も同様だが、もう少し見通しが立てば、全産業が動き出すタイミングを図ることができるのだが、「一寸先は闇」という昨今の状況では、人々のマインドが落ち込んでしまうのも致し方ない。そうした中でも人権や平和といった確固たる視座を忘れずにいたい。