本日の東京新聞朝刊に、ロシアやベトナムといった食料輸出国が相次いで輸出制限に動いており、中国で穀物の買い占め騒動が起きているとの記事が掲載されていた。
地理の農業分野で必ず扱う事柄に、4大穀物の生産国、輸出国、輸入国の上位国がある。4大穀物とは米、小麦、とうもろこし、大豆の4つであり、いずれも主食として人間の摂取カロリーの主要をなすものである。中国は農業が盛んなので、いずれの生産量も多いが、国内の消費量も多いため、輸出には一切回していない。
パンやパスタ、ラーメン、うどんの原料となる小麦は、世界の生産量は第1位のフランスを含むEUに続いて、中国、インド、ロシア、米国と続く。しかし、輸出量は、第1位がロシアとなり、EU、米国、カナダ、オーストラリアと続いていく。世界人口の1位と2位を占める中国とインドがすっぽりと抜け落ちる。
人間だけでなく、家畜の餌ともなるとうもろこしも同様で、世界の生産量は第1位の米国、中国、ブラジルの3ヵ国だけで、世界生産量の半分以上を占める。しかし、輸出は「穀物メジャー」に仕切られている点もあり、米国、ブラジル、アルゼンチン、ウクライナの4ヵ国で世界のほとんどの市場が独占されている。
米や大豆も様相は同じであり、農業分野を考えていくには、気候や土壌、国土面積だけでなく、人口や企業的農業、貿易体制など多岐にわたる知識が必要である。
コロナ ウイルスのニュースばかりが目立つが、その副作用として世界の経済が大きく揺さぶられている。今年度の地理の授業もこれまでと全く違う統計データを元に内容を再構成する必要がありそうだ。