投稿者「heavysnow」のアーカイブ

『やさしい行列とベクトル』

川久保勝夫『やさしい行列とベクトル:なぜヨットは風上に進めるのか』(日本実業出版社 1987)を読む。
東大理学部数学科を卒業し、阪大理学部で線形代数学を研究する著者が、一般の方向けに分かりやすく、行列とベクトルの基本と、両者の関係性について分かりやすく語る。スキーやゴルフ、マーケティングなど分かりやすい題材を挙げて、数学的な解説を加えている。

コリオリの力や偏西風の原理などもベクトルを使って説明するのだが、さっぱり分からない。一般の人が以下の説明を読んで理解できるだろうか。

コリオリの力は、運動方向に対して常に垂直であるために、仕事をしない力です。このことは内積を考えれば分かります(cosθ=0ですから)。

高度約5000メートル以上では北極に低気圧があり、等圧線は北極を中心にしてほぼ同心円をなしているのです。したがって北極に向かって風が吹き、コリオリの力で方向が右にかえられるのです。上空では摩擦係数が少ないから「地衡風」となり、ほぼ東に向かう、つまり西風になるのです。

「佐渡金山 世界遺産推薦の候補」

本日の東京新聞朝刊に、文化審議会が佐渡金山の世界文化遺産登録に向けて動き出しているとの記事が掲載されていた。
一般に地理の教科書では、金や銀、銅、錫などの非鉄金属は新規造山帯から産出されるとの記述がある。新期造山帯は約2億5000万年前から急激な造山運動を受けて形成され、鉄鉱石を除く地下資源が豊富に存在する。但し金や銀などのレアメタルは必ずしも新期造山帯から産出されるものではなく、地球上の各地に偏在する。

以下に、金産出国の最新の統計データを引用しておいた。数年前まで上位に入っていた南アフリカは既にベスト10から外れている点に留意したい。

2020年の金産出国のランキング ベスト10

1 中華人民共和国(中国) 380t
2 オーストラリア 320t
3 ロシア 300t
4 アメリカ合衆国(米国) 190t
5 カナダ 170t
6 ガーナ 140t
7 インドネシア 130t
8 ペルー 120t
9 カザフスタン、メキシコ 100t

『生命の誕生』

秋山雅彦『生命の誕生:先カンブリア時代・カンブリア紀』(共立出版 1984)をパラパラと読む。
地理の世界では「先カンブリア時代=安定陸塊」ということで、古生代以降の生物や陸性植物が登場する以前の変化のない時代と一括りに捉えがちである。
しかし、地球が誕生してから40億年もの長い年月であり、大気や海ができ、細菌などの原核生物からDNAを含む真核生物が誕生し、動物や植物の大元が作られた時代である。著者はそうした変化に富んだ時代として先カンブリア時代を捉えている。

『東孝の遺言』

東孝『東孝の遺言』(ベースボールマガジン社 2021)をパラパラと読む。
大道塾を立ち上げた著者が癌に罹り、自身の来し方と、大道塾の団体や空道の総合格闘技スタイルの行く末を語る。薄いグローブで寝技からも殴りあう現在の格闘技の隆盛に疑問を呈し、素手とスーパーセーフ、寝技からの打撃を禁じた著者の実戦性と安全性を確保した上での人間教育という道は揺るぎないものである。