川久保勝夫『やさしい行列とベクトル:なぜヨットは風上に進めるのか』(日本実業出版社 1987)を読む。
東大理学部数学科を卒業し、阪大理学部で線形代数学を研究する著者が、一般の方向けに分かりやすく、行列とベクトルの基本と、両者の関係性について分かりやすく語る。スキーやゴルフ、マーケティングなど分かりやすい題材を挙げて、数学的な解説を加えている。
コリオリの力や偏西風の原理などもベクトルを使って説明するのだが、さっぱり分からない。一般の人が以下の説明を読んで理解できるだろうか。
コリオリの力は、運動方向に対して常に垂直であるために、仕事をしない力です。このことは内積を考えれば分かります(cosθ=0ですから)。
高度約5000メートル以上では北極に低気圧があり、等圧線は北極を中心にしてほぼ同心円をなしているのです。したがって北極に向かって風が吹き、コリオリの力で方向が右にかえられるのです。上空では摩擦係数が少ないから「地衡風」となり、ほぼ東に向かう、つまり西風になるのです。