荒木経惟『天才アラーキー写真ノ方法』(集英社新書 2001)を読む。
写真芸術家として第一人者の荒木氏が写真の極意を語る。といっても特別な技術を伝授するわけではない。荒木氏は「写真の中心はあくまで被写体であり、カメラマンは無心にシャッターを押すだけである」と、良い写真家は被写体の美しさを引き出すことだと述べる。また、写真は現在の現実を写すものではなく、被写体の過去を写すものであり、引いては被写体の歩んできた人生の「物語」を彷彿とよみがえらせるものであると語る。
「ゆとり」教育改革迷走
本日の東京新聞朝刊に『「ゆとり」教育改革迷走』と題して、政策研究大学院大岡本薫教授へのインタビューが掲載されていた。
記事の中で、岡村氏は文科省のゆとり教育政策のぶれについて次のように断言する。文科省が教育を神秘主義のベールで覆って宗教化させてしまっているという指摘は正しいと思う。「ゆとり」「生きる」を錦の御旗にして何でもかんでもごり押ししようとする、ここ20年くらいの文科省の体質をうまく捉えている。
日本の子どもはずっと学力水準が高いっていう国際比較テストの結果があった。ところが、詰め込んでいるから高かったのかとか、減らしても維持できるとかいう分析をしないでいたから、下がった瞬間になぜ下がったか分からなくなって大あわて。たまたまその前に(ゆとり路線への)政策転換があったから、元に戻そうって。
日露戦争でなぜ勝ったのかきちんと分析しないで、実は(局地戦での勝因は)物量の問題なのに精神力で勝ったなんて言うからあんなこと(太平洋戦争の敗北)になったのと同じです。
「生きる力」とか訳わかんない。教育が宗教になっちゃってる。神秘主義のベールに覆っておきたいから、誰も反対できないスローガンで覆う。でも保護者が気にしているのは、うちの子をどうしてくれるのかということ。最低限ここまではやりますってことを言わなければ、行政として無責任でしょ。
『「株」「投資信託」「外貨預金」がわかる 基礎の基礎講座』
『栗田昌裕の能力を20倍にする速読法』
栗田昌裕『栗田昌裕の能力を20倍にする速読法』(KKロングセラーズ 2002)を読む。
速読をきっかけとして、脳のウエルニッケ中枢領域を開発し、人間の情報処理システムそのものを改築するSRS速読システムなるものを提唱する。著者は、「個性を活かしつつ、人間の最適な処理システムを確立し、それを世の中に還元するまでの人生の全課程の改善と完成を手助けするシステムを目指す」と大言壮語する。著者自身が禅を勉強されたようで、「想念の世界の構造」やら「心の枠組みの拡大」など、心の開発に重きを置いているようである。
眉唾物の内容が大半であるが、超速読の基本であるイメージ訓練法は興味深かった。頭に思い浮かべたイメージを、頭の中で拡大縮小したり、移動させたり、転がしたり、色をつけたり、何か別のものへ変化させたりすることで、洞察力や記憶力が高まるというものだ。また、それによって処々の問題もオブジェクト指向的に捉えることができるという。詳しく知りたい方は著者のホームページを参考されるとよいだろう。
第一子誕生
今週20日の午後7時に無事第一子が誕生致しました。3488グラムのビッグな女の子でした。生まれて10分後には目がぱっちりとして、指しゃぶりをしようと盛んに手を動かしていました。次の日から早速ミルクをがぶがぶと飲んでいます。ミルクを飲んでは寝て、起きては泣き叫ぶ規則正しい生活パターンが出来てきたようです。
母子ともども健康で、このまますくすくと元気に育っていってほしいと願うばかりです。
病院の廊下に妊婦の感想ノートが置いてあったので、手に取って読んでみた。子どもが誕生した感動の言葉でほぼ埋め尽くされている中で、未熟児で二分脊椎症を抱えて生まれ、すぐに岩槻の小児医療センターに搬送された子どもの母親の記述が載っていた。詳しいことには全く触れていないが、その心中を察するにいかばかりのものがあっただろうか。
我が子の健康と笑顔に感謝する心と、全ての子どもが等しく大切に育てられる社会を作らんとする心は同じものである。そのような至極当たり前のことを改めて実感した。


