柳父章『翻訳語成立事情』(岩波新書 1982)をパラパラと眺める。
著者は執筆当時、在野の翻訳論の研究者であった。江戸時代から明治にかけて、以前の日本語の概念にないヨーロッパの言葉がたくさん入ってきたが、それらが日本語に訳されてきた背景が丁寧に説明されている。「社会」「個人」「近代」「美」「恋愛」「存在」「自然」「権利」「自由」「彼、彼女」といった言葉をキーワードに、福沢諭吉や西周らがどのような意味を込めたのか、また、「自然」という言葉の持つ複雑な背景などが紹介されている。
面白そうな内容ではあるが、ささっと読み飛ばした。