日別アーカイブ: 2025年8月14日

「田植え不要のコメ栽培支援」

本日の東京新聞朝刊に、「乾田直播」によるコメ栽培が増えており、農林水産省も補助金による支援に乗り出すとの記事が掲載されていた。乾田直播とは、苗作りを省き、水を張っていない水田に直接種を播く手法のことである。東南アジアで一般的な畑に種を蒔き、畑作として栽培する陸稲とは異なる手法である。

地理用語で捉えると、これまでの日本の水田は土地生産性は高いものの、大規模化できないため労働生産性が低くなっていた。この乾田方式は田植えや苗作りが不要なので大規模化しやすく、トラクターを利用することで労働生産性が上がることが期待される。

記事によると、水を張った田からはメタンガスが発生するという難点があり、メタンは二酸化炭素(CO2)の25倍の温室効果を持つとされ、水田からの排出量は国内の約4割を占めるという。

水田は自然のダムであり、治水の面でもメリットがあり、効率化だけで大規模化することに異論は多々あろう。しかし、農業人口の減少と食料安全保障の観点からも、米の大規模栽培の研究・支援は正しいベクトルに向いていると考える。

『知の冒険』

桐光学園中学校・高等学校『知の冒険:大学授業がやってきた!』(水曜社,2008)をパラパラと読む。
神奈川県川崎市麻生区に位置する桐光学園中学・高校で実施された、土曜講習「大学訪問授業」の講演内容をまとめたものである。歴史学に始まり、地理学、哲学、現代思想、社会学、法学、農学、生物学、電子工学、ロボット工学、人工知能、芸術学など、文系から理系まで幅広い大学の学問の入門講座の紹介となっている。

学校のホームページを確認したところ、この「大学〜」は2025年現在も毎週土曜日、律儀に実際されている。1回だけだったら簡単だが、続けるのは難しい。業者が仲介しているのか、講演料が高いのか、大学サイドの生徒募集に絡めているのか、よく分からないが、学校関係者の努力が伺われる。

おそらく60分から90分くらいの講演内容のあらすじだけをまとめたものなので、読んでいて面白いものではない。講演会はレジュメにない自己紹介や雑談、生徒とのやりとりが面白いのに、そうした内容が一切省かれている。文体もすべて統一されており、講演者の話し口調も全く伝わらない。これだったら、動画で残してくれた方が生徒のためにも良いのでは。