柳田充弘『細胞から生命が見える』(岩波新書 1995)をパラパラと眺める。
あまり興味も湧かず読み飛ばした。細胞を語る上でタンパク質が大事だということだけ分かった。
最後に著者は次のように語る。文系・理系の分け方の無意味さはよく理解できる。
この国の知的社会でもっとも不幸なことは、文系、理系というばかげた分類がありとあらゆるところで幅をきかせて、人を分けへだてていることである。このような分けかたはまったく百害あって一利なしである。このような分類がはびこると、国家的にも人的資源の枯渇化、衰退化をまねくと思う。現代の生命科学では大きな知的体系を生みだしつつあるが、これを学ぶのに日本的理系、文系の区別はほとんど意味がない。(中略)
私は、初等学校での理科は、なによりも情操教育でなければならないと信じている。おもしろい、不思議というこの2つの感情の育成を最大限に重視すべきである。この原則から離れた理科教育の理念は、長い目で見ればかならず失敗するであろう。これは断言してよい。理科教育のなかでも生物学は、なにかに深く接し、それを愛するという感情を育てるのにもっとも適している。