山口幸夫『20世紀理科年表』(岩波ジュニア新書 1986)を読む。
タイトル通り、1901年の第1回ノーベル賞から元素、ライト兄弟、真空管など、科学の世紀を彩る発明や発見が紹介されている。著者は物理学を専門としているので、相対性理論や量子力学、原爆・原発に紙幅が割かれている。
アメリカのハッブルは、ボクシング選手として世界チャンピオン級だったが、学位までとって法律家になり、父のあとを継いだ。が、天文学の魅力にとりつかれて、とうとう天文学者になってしまった多才な人である。1929年に宇宙は膨張し続けていることを発見し、天文学では20世紀最大の発見といわれている。
第二次世界大戦後、マンハッタン計画に参加したアメリカの科学者たちは、「もう原爆はつくるな」というフェルミやオッペンハイマーたちと、「もっと強力な核爆弾をつくろう」と主張する人たちとに分かれた。そして、後者の意見が主流となった。ソ連もアメリカに負けまいと、水爆開発をすすめた。“水爆の父”と呼ばれるテラー(米)を中心とする人たちは、1952年から、住民をたちのかせたマーシャル諸島で水爆の実験をくりかえしていた。第五福竜丸はそのビキニ環礁での水爆実験の被害者となっている。