西原理恵子・佐藤優『とりあたま大学:世界一ブラックな授業!編』(新潮社 2015)を読む。
今回も漫画はよまず、佐藤氏のコラムだけを読む。だいぶ現在に近づいてきて、3Dプリンターやビットコイン、STAP細胞、マウンティング女子など、当時話題となった商品やネタに関するコメントがまとめられている。その中で2014年3月のクリミア議会の独立宣言が興味深かった。クリミア半島を実効支配している中で行われたクリミア議会の住民投票で、96%以上がロシアとの統合に賛成する結果が出たという内容である。そのニュースを受けて、佐藤氏は次のようにコメントする。
この事件は北方領土交渉にも影響を与える。仮にロシアが北方四島を日本に返還しても、その後、ロシア系住民が住民投票を行い、「もう一度ロシアに編入して欲しい」という主張に大多数が賛成すれば、ロシアが軍隊を進駐させ、北方領土を再奪取する可能性が排除されなくなるからだ。北方領土に日本人を移住させるための計画を早急に立てる必要がある。日本人が北方領土に住んで、ビジネスを始める仕組みを考えなくてはならない。手っ取り早く、色丹島、国後島、択捉島に洋上カジノを設置することを提案する。
ここで筆者がカジノを取り上げたのは、ロシアの役人を靡かせるツールとして大変有効だという経験則に基づくものである。カジノに行くのはロシアでも日本でも、基本的にお金持ちの会社経営者や政治家、役人、芸能関係者などである。経済が苦しいロシアに対する洋上カジノ提案は、行き詰まった日露交渉の打開策として期待できるのではないか。