日別アーカイブ: 2021年1月23日

『あなたのいない記憶』

辻堂ゆめ『あなたのいない記憶』(宝島社 2016)を読む。
意図的な記憶のすり替えをモチーフに、どんでん返しが繰り返されるミステリー小説である。最後まで結論が分からず、一気に読み進めた。人間にとって記憶とは、都合よく解釈され、断片的な風景で物語られるあやふやなものである。しかし、その記憶こそが人間が明日を目指して生きる源泉となっていることに気付かされた。

「タイ王国批判 SNSで音声を共有しただけで不敬罪 禁錮43年」

本日の東京新聞朝刊に、タイ王国の不敬罪に関する記事が掲載されていました。
タイはヨーロッパの帝国主義の植民地争奪の緩衝地帯となったため、君主制が現存する珍しい国です。立憲君主制を採用していますが、国王が政治に介入することが多く、若者の反発を招いています。2学期期末考査前の授業で映像を紹介しましたが、覚えているでしょうか。日本メーカーの工場も数多く立地しており、目が離せない記事となってます。

ちなみに、「不敬罪」とは、国王および王族・王宮などに対して不敬の行為をする罪で、日本国憲法では廃止されているものです。政治的な主張や意見を述べる環境は保証されるべきですが、ヘイトスピーチと同様に、個人や組織を人格的に否定するような発言や行為は慎みたいものです。

『京の裏道』

松本章男『京の裏道:洛南』(平凡社カラー新書 1978)をパラパラと読む。
京都の有名な寺社仏閣の写真ではなく、山裾の民家や集落の佇まいが描かれる。バブル以前の昭和の風景である。

『ストリートチルドレン』

工藤律子『ストリートチルドレン:メキシコシティの路上に生きる』(岩波ジュニア新書 2003)をパラパラと読む。
メキシコの首都の路上で生活する少年少女を数年にわたって取材した労作である。現地の支援団体とも連携する中で、ジャーナリストの立場からNGOのスタッフへと変わっていった経緯が描かれている。
こうしたストリートチルドレンの解決の方法として、著者はフェアトレードをあげている。