本日の東京新聞朝刊の国際面に、ドイツのメルケル首相の後継者の顔ぶれが紹介されていた。
記事には詳しく書かれていないが、ドイツは日本と同じく議員内閣制を採用している国である。議員内閣制では、通例与党第1党の党首が首相に任命される。自民党だけは党首のことを「総裁」と呼び習わしており、菅内閣総理大臣が就任前に、岸田さんや石破さんを破って、自民党の総裁選に勝利したことは記憶に新しい。
しかし、メルケル首相は2年前に選挙での惨敗の責任をとり、党首の座を下りて残りの首相の任期を全うしたら政界を引退すると表明した。今年の9月に予定されている総選挙に先だって、今月16日にメルケル首相が所属するキリスト教民主同盟の党首選が行なわれる。本来であれば与党第1党のキリスト教民主同盟の党首が内閣総理大臣を務めるのだが、メルケル首相の任期があと半年近く残っているので、今度選出される党首は総理候補として9月の総選挙を闘う力量が問われることになる。
メルケル首相は授業中にも触れたが、EUの盟主でもあり、難民対策でも寛容な姿勢を貫いてきた政治家である。しかし、中東情勢の悪化に伴いEUに流入する難民が急増し、各地で文化や宗教を巡る衝突が繰り返されるようになり、ドイツ国内からの支持基盤も揺らぎつつある。メルケル首相の寛容な態度に真っ向から反対する、排外主義を全面に掲げた右派政党が勢力を伸ばしつつある。
ドイツのドメスティックな話題にはあまり興味はないが、EU全体の方向に影響を及ぼす、9月の総選挙の結果には注目していきたい。